JRの切符のルールであるJR西日本の旅客営業規則を眺める-第2編旅客営業第7章乗車変更等の取扱い第3節旅客の特殊扱④-

JR西日本の旅客営業規則を通しで見てみようということで、今回は、第2編旅客営業の第7章乗車変更等の取扱いの旅客の特殊取扱の続きです。

旅客営業規則

 旅客営業規則は、JR各社(貨物を除く)の旅客と運送契約に適用する条件を定めたものです。要するに、運送約款のことです。簡単に言うと、みどりの窓口に備え付けられてる時刻表の最後の方に載ってる切符のルール等の元ネタです。JR各社で内容は異ならないと思いますが、JR西日本の旅客営業規則を見ていこうと思います。

旅客営業規則第2編旅客営業第7章乗車変更等の取扱い第3節旅客の特殊取扱

 旅客営業規則第2編旅客営業第7章乗車変更等の取扱いの第3節旅客の特殊取扱の任意による旅行の取りやめを取り上げます。

 切符を買ってたけど、いろいろな事情で予定が変わることは珍しくありません。そんな場合、JRのルールではどうなるんでしょうか?

旅行開始前の旅客運賃の払いもどし(271条)

 旅行開始前に、普通乗車券が不要となった場合は、乗車券の券片が入鋏前で、かつ、有効期間内の場合に限り、駅に持って行けば、旅客運賃の払戻しを請求できます。ただし、手数料が220円かかります。

 乗車券が往復乗車券又は連続乗車券で、往路又はその一部を使用している場合の払戻しは、既に収受した往復旅客運賃又は連続旅客運賃から既に使用した往片等の券片区間に対する無割引の普通旅客運賃を差し引いた残額となります。控除されるのが無割引というのがポイントです。

使用開始前の定期旅客運賃、普通回数旅客運賃、急行料金及び特別車両料金の払いもどし(272条)

 有効期間の開始日前の定期乗車券、指定急行券以外の急行券、自由席特別車両券、使用開始前の普通回数乗車券も271条1項が準用されます。

 定期券の払戻しの場合は、公的証明書等を呈示して、本人であることを証明する必要があります。

指定券に対する料金の払いもどし(273条)

 指定券が不要となった場合、指定を受けた列車が乗車駅を出発する時刻までに駅に持って行けば、以下の手数料(10円未満切り捨て)を支払うことで、特急料金、特別車両料金、寝台料金、座席指定料金の払戻しを請求できます。

①立席特急券・特定特急券以外の指定券

 ⑴出発する日の2日前までに請求した場合は、340円

 ⑵出発する時刻までに請求した場合は、すでに支払った当該料金の3割に相当する額(最低340円)

②立席特急券及び特定特急券

 基本は220円ですが、例外があります。例外は省略します。

③未指定特急券

 未指定特急券が不要となった場合、券面に表示された乗車日までに駅に持って行けば、340円の手数料を支払うことで、未指定特急券に対する特別急行料金の払戻しを請求できます。

旅行開始後又は使用開始後の旅客運賃の払いもどし(274条)

 普通乗車券を使用して旅行を開始した後に、旅行を中止した場合、乗車券が、有効期間内であって、かつ、その現に使用している券片の乗車しない区間の営業キロが、100キロメートルを超えるときに限り、旅行を中止した駅に差し出せば、既に支払った旅客運賃から既に乗車した区間の普通旅客運賃を差引いた残額の払戻しを請求できます。なお、手数料は220円です。

 往復乗車券と連続乗車券は、旅行開始後でも271条が適用されます。

不乗区間等に対する旅客運賃・料金の払いもどしをしない場合(275条)

 不乗車区間について、旅客運賃・料金の払戻しが請求できない場合があります。以下の場合です。

 ①155条、175条で継続乗車中の旅行を中止した場合の不乗区間

 ②148条の乗車券類の券面に表示された発着区間内の途中駅から乗車した場合の不乗車区間又は途中下車した場合後に前途の駅から任意に乗車した場合の不乗区間

 ③第148条で特別車両定期乗車券を使用して特別車両以外の座席車に乗車した場合又は自由席特別車両券(A)を使用して普通列車の自由席特別車両に乗車した場合の当該区間

 ④特別車両以外の座席車又は寝台車に任意に乗車した場合の特別車両券の不使用区間

定期乗車券使用開始後の旅客運賃の払いもどし(277条)

 定期乗車券の使用を開始した後、その定期乗車券が不要となった場合、有効期間内であれば、駅に持って行けば、既に支払った定期旅客運賃から、使用経過月数に相当する定期旅客運賃を差し引いた残額の払戻しを請求できます。手数料は220円です。

 なお、払戻請求を行った当日は経過日数に算入します。また、1か月未満の経過日数は1か月として計算します。

 定期乗車券の経過月数に相当する定期旅客運賃は、以下のように計算します。 

使用経過月数が1か月又は3か月

 その月数に相当する定期旅客運賃

使用経過月数が2か月

 1か月に相当する定期旅客運賃の2倍の額

 当たり前のことを規定しているようですが、有効期間2か月の定期券って発売されてないので、規定しておく必要があるわけです。

使用経過月数が4か月

 3か月と1か月に相当する定期旅客運賃の合算額

使用経過月数が5か月

 3か月と1か月の2倍に相当する定期旅客運賃の合算額

旅行中止による有効期間の延長及び旅客運賃・料金の払いもどし(278条)

 旅行開始後、以下のいずれかに該当し、かつ、所持する乗車券が有効期間内であれば、1回限り、乗車券を預けた日から有効期間を延長する事由がなくなった日の前日までの日数について、乗車券の有効期間の延長を請求できます。また、既に支払った旅客運賃から既に乗車した区間の普通旅客運賃を差し引いた残額の払戻しをその旅行を中止した駅に請求することができます。手数料は220円です。

 ①傷い疾病によって旅行を中止した

  「傷い」とは、ケガのことです。

 ②国会からの喚問その他これに類する行政権又は司法権の発動によって、旅行を中止した

 有効期間の延長の請求は、旅行開始前にも準用されます。

 定期乗車券、普通回数乗車券、団体乗車券又は貸切乗車券は、有効期間の延長・払戻請求はできません。指定急行券以外の急行券又は自由席特別車両券は、既に支払った料金から既に乗車した区間の料金を差し引いた残額の払戻しを請求できます。手数料は220円です。

 乗車券の有効期間の延長の取扱いを請求する場合は、あらかじめ関係の駅に申し出て、その乗車券を駅に預けます。そして、旅行を再び開始する際乗車券に有効期間延長の証明を受けた上で、乗車券を受け取ります。

傷い疾病等の場合の証明(279条)

 有効期間の延長又は旅客運賃・料金の払戻請求をする場合、その原因が外傷等で一見してその事実が認定できる場合を除き、医師の診断書等の証明が必要です。

有効期間の延長及び旅客運賃・料金の払いもどしの特例(280条)

 発行当日限り有効の乗車券、指定急行券以外の急行券又は自由席特別車両券を所持していて、当日最終の列車に乗りおくれた場合、諦めないでください。

 直ちに当該乗車券、急行券又は自由席特別車両券を係員に呈示すれば、有効期間の延長又は旅客運賃・料金の払戻請求をすることができます。翌日まで有効期間を延長するか又は手数料220円を支払って、旅客運賃・料金の払戻しがなされます。

♪Mr.Children「Cross Road」(アルバム:Atomic Heart収録)

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