宿命の対決?ChatGPT vs Gemini②

生成AIのChatGPTとGeminiを比較するため、それぞれに同じプロンプトを入力してみました。果たして結果は?

ChatGPT vs Gemini

 ひねもすのたりでは、3回にわたって、GeminiがBardと呼ばれていた頃から、ChataGPTとGeminiに同じプロンプトを入力して、その回答を比較してきました。

 ChatGPTの無料版が大幅にアップデートされた一方で、別の記事ですが、無料版のGeminiの精度が落ちてるんじゃないか?という疑念を抱いています。

 今回は、利息の計算をChatGPTとGeminiにしてもらおうと思います。利息の計算と言っても、色々ありますが、裁判所の計算方法に従って計算してもらいます。

裁判所の利息の計算方法

 たとえば、強制執行の申立てなど、請求する債権の利息を計算しないといけない場面が存在します。裁判所では、当事者間で特約がない場合、以下のように、利息を計算します。

裁判所における利息計算のルール(年利の場合)

①1年を超える期間がある場合は、通算日数ではなく「年数と1年未満の日数(何年と何日)」を対象にして計算する。

②1年未満の期間の計算をする場合は、平年とうるう年とを分けて計算する。

③1年未満の期間の計算をする場合、平年は、分母を365日として、日割り計算する。

④1年未満の期間を計算する場合、うるう年は、分母を366日として、日割り計算する。

 以上を前提に、利息を計算してもらいます。

計算する利息

元金10万円、利息18%の債権で、平成3年8月2日~平成7年7月15日までの利息を計算

 なぜ、こんな昔の期間の計算をするかというと、裁判所のWebサイトで公開されている利息の計算の例が、この期間だからです。

ChatGPTの回答

 ChatGPTの回答は、以下のとおりでした。

元金10万円、年利18%の債権について、平成3年8月2日から平成7年7月15日までの利息は約71,112円です。

計算の過程

  1. 期間
    平成3年8月2日から平成7年7月15日までの期間は、4年と347日。
  2. 年単位の利息計算
    各年(平成3年から平成6年)は、平年またはうるう年を考慮し、1年間ごとに利息を計算しますが、いずれも全期間1年間分の利息となります。
  3. 1年未満の計算(平成7年1月1日~7月15日)
    平成7年は平年なので、365日を分母にして347日分の利息を計算しました。

最終的に、合計の利息は71,112円となります。

 う~ん、30円くらいの誤差があるんですよねぇ~残念…

Geminiの回答

 最近、個人的に精度が落ちてきたんじゃないと感じるGeminiの回答です。

解答

1. 期間の整理

まず、全体の期間を年数と1年未満の日数に分けます。

  • 平成3年8月2日から平成7年7月15日までの期間は、4年と347日となります。

2. 年数分の利息計算

年数分の利息は、元金に年利をかけて年数をかけることで算出できます。

  • 年数分の利息 = 10万円 × 18% × 4年 = 72,000円

3. 1年未満の日数分の利息計算

1年未満の日数分の利息は、期間中のうるう年を考慮して、平年とうるう年に分けて計算します。

  • うるう年: 平成4年
  • 平年: 平成3年、平成5年、平成6年、平成7年

平成4年の利息:

  • 1年未満の日数は、平成4年のうるう年の2月29日~7月15日までの136日間です。
  • 平成4年の利息 = 10万円 × 18% × (136日 / 366日) ≒ 6,662円

平成3年、平成5年、平成6年、平成7年の利息:

  • 各年の1年未満の日数は、それぞれ365日 – 243日 = 122日間です。
  • 各年の利息 = 10万円 × 18% × (122日 / 365日) ≒ 6,022円
  • 4年分の利息 = 6,022円 × 4 = 24,088円

4. 全体の利息の合計

  • 全体の利息 = 年数分の利息 + 1年未満の日数分の利息の合計 = 72,000円 + 6,662円 + 24,088円 = 102,750円

答え

元金10万円、年利18%の債権について、平成3年8月2日~平成7年7月15日までの利息は、102,750円となります。

 これは、ヒドい…Geminiは、計算が苦手なのか?コイツ、さては文系だな。

正解は71,141円

 正解というか、裁判所によると、以下のように計算して、利息は71,141円となります。

裁判所の利息計算の方法

①10,000円×18/100×3年=54,000円→平成3年8月2日~平成6年8月1日:3年間の利息

②100,000円×18/100×152/366=7,475.4円→平成6年8月2日~平成6年12月31日:152日間の利息

③100,000円×18/100×196/365=9,665.7円→平成7年1月1日~平成7年7月15日:196日分の利息

④①+②+③=71,141.1円→71,141円

AIは法律家じゃない!?

 なぜ、ChatGPTもGeminiも利息の計算を間違えたんでしょう。たぶん、AIは法律家ではないからです。

 裁判所の例は、当然、民法に基づいて期間を計算しています。しかし、AIは、民法の期間計算の規定を理解していないんですね。なので、いきなり、期間が4年と347日とか言い出すんですね。つまり、民法の期間計算のルールについてもAIに教えておくと、もしかしたら、正しい回答をしたのかもしれません。が、めんどくさ今回は、ここまでにします。

♪Mr.Children「365日」(アルバム:SENSE収録)

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