生成AIのChatGPTとGeminiを比較するため、それぞれに同じプロンプトを入力してみました。果たして結果は?
ChatGPT vs Gemini
ひねもすのたりでは、3回にわたって、GeminiがBardと呼ばれていた頃から、ChataGPTとGeminiに同じプロンプトを入力して、その回答を比較してきました。
ChatGPTの無料版が大幅にアップデートされた一方で、別の記事ですが、無料版のGeminiの精度が落ちてるんじゃないか?という疑念を抱いています。
今回は、利息の計算をChatGPTとGeminiにしてもらおうと思います。利息の計算と言っても、色々ありますが、裁判所の計算方法に従って計算してもらいます。
裁判所の利息の計算方法
たとえば、強制執行の申立てなど、請求する債権の利息を計算しないといけない場面が存在します。裁判所では、当事者間で特約がない場合、以下のように、利息を計算します。
以上を前提に、利息を計算してもらいます。
計算する利息
元金10万円、利息18%の債権で、平成3年8月2日~平成7年7月15日までの利息を計算
なぜ、こんな昔の期間の計算をするかというと、裁判所のWebサイトで公開されている利息の計算の例が、この期間だからです。
ChatGPTの回答
ChatGPTの回答は、以下のとおりでした。
元金10万円、年利18%の債権について、平成3年8月2日から平成7年7月15日までの利息は約71,112円です。
計算の過程
- 期間
平成3年8月2日から平成7年7月15日までの期間は、4年と347日。- 年単位の利息計算
各年(平成3年から平成6年)は、平年またはうるう年を考慮し、1年間ごとに利息を計算しますが、いずれも全期間1年間分の利息となります。- 1年未満の計算(平成7年1月1日~7月15日)
平成7年は平年なので、365日を分母にして347日分の利息を計算しました。最終的に、合計の利息は71,112円となります。
う~ん、30円くらいの誤差があるんですよねぇ~残念…
Geminiの回答
最近、個人的に精度が落ちてきたんじゃないと感じるGeminiの回答です。
解答
1. 期間の整理
まず、全体の期間を年数と1年未満の日数に分けます。
- 平成3年8月2日から平成7年7月15日までの期間は、4年と347日となります。
2. 年数分の利息計算
年数分の利息は、元金に年利をかけて年数をかけることで算出できます。
- 年数分の利息 = 10万円 × 18% × 4年 = 72,000円
3. 1年未満の日数分の利息計算
1年未満の日数分の利息は、期間中のうるう年を考慮して、平年とうるう年に分けて計算します。
- うるう年: 平成4年
- 平年: 平成3年、平成5年、平成6年、平成7年
平成4年の利息:
- 1年未満の日数は、平成4年のうるう年の2月29日~7月15日までの136日間です。
- 平成4年の利息 = 10万円 × 18% × (136日 / 366日) ≒ 6,662円
平成3年、平成5年、平成6年、平成7年の利息:
- 各年の1年未満の日数は、それぞれ365日 – 243日 = 122日間です。
- 各年の利息 = 10万円 × 18% × (122日 / 365日) ≒ 6,022円
- 4年分の利息 = 6,022円 × 4 = 24,088円
4. 全体の利息の合計
- 全体の利息 = 年数分の利息 + 1年未満の日数分の利息の合計 = 72,000円 + 6,662円 + 24,088円 = 102,750円
答え
元金10万円、年利18%の債権について、平成3年8月2日~平成7年7月15日までの利息は、102,750円となります。
これは、ヒドい…Geminiは、計算が苦手なのか?コイツ、さては文系だな。
正解は71,141円
正解というか、裁判所によると、以下のように計算して、利息は71,141円となります。
AIは法律家じゃない!?
なぜ、ChatGPTもGeminiも利息の計算を間違えたんでしょう。たぶん、AIは法律家ではないからです。
裁判所の例は、当然、民法に基づいて期間を計算しています。しかし、AIは、民法の期間計算の規定を理解していないんですね。なので、いきなり、期間が4年と347日とか言い出すんですね。つまり、民法の期間計算のルールについてもAIに教えておくと、もしかしたら、正しい回答をしたのかもしれません。が、めんどくさ今回は、ここまでにします。
♪Mr.Children「365日」(アルバム:SENSE収録)