電気通信事業法27条の3等の運用に関するガイドラインが改正されました。2024年12月26日から新ガイドラインが適用されます。端末購入プログラムでiPhone買うなら新ガイドライン適用前の12月25日までに契約した方がいいんじゃない?という話しです。
電気通信事業法27条の3等の運用に関するガイドライン
電気通信事業法27条の3等の運用に関するガイドラインは、文字通り電気通信事業法27条の3等の運用に当たっての具体的な考え方や事例等を総務省が整理してまとめたものです。
ガイドラインなんで、法的拘束力はありません。しかし、総務省の考えが示されてるので、ガイドラインに反する行為を行うと、総務省としては、行政指導等の対象として扱うでしょう。そうすると、よほどおかしな内容でなければ、ガイドラインに粛々と従うことになります。
そのガイドラインが改正されました。改正後の新ガイドラインが適用されるのが、2024年12月26日からです。
電気通信事業法27条の3
ガイドラインの表題にもなっている電気通信事業法27条の3って、どんな規定なんでしょうか?
(移動電気通信役務を提供する電気通信事業者の禁止行為)
第二十七条の三総務大臣は、総務省令で定めるところにより、移動電気通信役務(第二十六条第一項第一号に掲げる電気通信役務又は同項第三号に掲げる電気通信役務(その一端が移動端末設備と接続される伝送路設備を用いて提供されるものに限る。)であつて、電気通信役務の提供の状況その他の事情を勘案して電気通信事業者間の適正な競争関係を確保する必要があるものとして総務大臣が指定するものをいう。以下同じ。)を提供する電気通信事業者(移動電気通信役務(当該電気通信事業者が提供するものと同種のものに限る。)の利用者の総数に占めるその提供する移動電気通信役務の利用者の数の割合が電気通信事業者間の適正な競争関係に及ぼす影響が少ないものとして総務省令で定める割合を超えないものを除く。)を次項の規定の適用を受ける電気通信事業者として指定することができる。
2前項の規定により指定された電気通信事業者は、次に掲げる行為をしてはならない。
一その移動電気通信役務の提供を受けるために必要な移動端末設備となる電気通信設備の販売等(販売、賃貸その他これらに類する行為をいう。)に関する契約の締結に際し、当該契約に係る当該移動電気通信役務の利用者(電気通信役務の提供を受けようとする者を含む。次号、第二十七条の十二、第二十九条第二項、第三十九条の三第二項、第七十三条の四、第百二十一条第二項及び第百六十七条の二において同じ。)に対し、当該移動電気通信役務の料金を当該契約の締結をしない場合におけるものより有利なものとすることその他電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれがある利益の提供として総務省令で定めるものを約し、又は第三者に約させること。
二その移動電気通信役務の提供に関する契約の締結に際し、当該移動電気通信役務の利用者に対し、当該契約の解除を行うことを不当に妨げることにより電気通信事業者間の適正な競争関係を阻害するおそれがあるものとして総務省令で定める当該移動電気通信役務に関する料金その他の提供条件を約し、又は届出媒介等業務受託者に約させること。
3第一項の規定による移動電気通信役務の指定及び電気通信事業者の指定は、告示によつて行う。
一読しただけでは、何を規定しているのか、よく分かりません…携帯電話会社がやってはいけないことを規定しているのですが、ポイントは、2つです。
これらを実現するために、大きく以下の2つを禁止しています。
電気通信事業法27条の3で禁止されていること
①端末の購入と紐づけた通信料金の割引の禁止
②端末代金の割引の規制
①端末の購入と紐づけた通信料金の割引の禁止
スマホ等の端末を購入した人の通信料金を購入していない人より有利にすることが、禁止されています。要は、スマホ等の端末購入にかこつけた通信料金の割引は、できません。これは、法律でダイレクトに禁止されています。
禁止されてるのは、端末購入にかこつけた割引なので、U25の若い人向けの割引とか60歳以上のシニア割引みたいな年齢による割引は禁止されてません。
②端末代金の割引の規制
スマホ等の端末の代金の割引規制は、省令に委ねられています(規則22条の2の16)。
規則22条の2の16の1項が、禁止される端末代金の値引き等の利益の提供の内容を規定しています。2項は、端末の価格の基準を規定しています。
①は、携帯電話キャリアがiPhoneを割引く場合は、4万円が上限ということです。
②は、キャリアの端末購入プログラムを利用する際に、免除する残債又は残価は、中古市場の一般的な買取価格が上限ということです。
ガイドラインの改正のポイント
電気通信事業法27条の3等の運用に関するガイドラインの改正のポイントは、以下の3つです。
①ミリ派対応端末の割引上限は5万5000円(税別)
ガイドラインの本文ではなく、注釈に出てきます。
スマホ等の端末の割引上限額は、上記のとおり、4万円(税別)です。しかし、ミリ波に対応してるスマホの場合は、当分の間、上限は、5万5000円です。
なお、端末価格が2万円を超え11 万円以下の場合は、端末価格の50%又は2万円の高い方となります。
②端末購入プログラムの端末買取価格はRMJの公表価格を基準にする
これが、一番ユーザーに影響する改正だと思います。ガイドラインの別紙2に、具体的に記載されてます。
スマホ等の端末価格が高額化してるのに伴い、携帯電話キャリアでは、端末購入プログラムを提供しています。たとえば、端末を48回の分割支払いにし、かつ、毎月一定のオプション料金を支払うことで、13か月後に端末を返却すると、残りの端末代金の支払が免除されるというサービスです。
形としては、ユーザーからスマホを買い取ることになります。キャリアがユーザーから買い取る際の買取価格は、これまで、キャリアが独自に決めていました
しかし、ガイドラインで、以下のように算定することになります。
残価率の算出は、以下のように算定することになります。
発売からn か月目の買取平均価格は、中古市場の業界団体であるリユース・モバイル・ジャパン(RMJ)のウェブサイトに公表されている買取平均額を使用するとされています。
この改正で、月1円レンタルみたいな販売形式は、なくなるかもしれません。
③お試し割の導入
ガイドラインの本文には出てきません。注釈に出てきます。
「お試し割の導入」と書きましたが、新しい制度が導入されるわけではありません。継続利用を条件としない通信料金の割引が一定の要件下で、認められるという話しです。その条件は、以下の通りです。
そもそも継続利用を条件としないこと、割引期間が6か月なので、お試し割と言われてるわけです。新しい制度が導入されるわけではないので、お試し割を導入するかどうかは、キャリア次第です。
キャリアでiPhone買うなら12月25日までに契約を
ユーザーにとって、一番、影響が大きいのは、②の端末購入プログラムの端末買取価格が、RMJの公表価格を基準にすることでしょう。
今後、買取価格、つまり、免除される端末代金が、今より少なくなるかもしれません。ということで、iPhone-iPhone以外のスマホも-を携帯電話キャリアの端末購入プログラムで買おうと考えてる人は、12月25日までに契約した方がいいでしょう。
♪Mr.Children「青いリンゴ」(アルバム:miss you収録)