日本のコーポレートガバナンス・コードは、SDGsをどう位置付けているのでしょうか?
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コーポレートガバナンス・コード
コーポレートガバナンス・コードは、金融庁と東京証券取引所が策定して上場会社の企業統治のガイドラインとして参照すべき原則・指針です。
2015年6月に上場会社のルールとして策定され、以後、2018年6月と2021年6月に改訂が行われました。2021年6月の改訂では、SDGsの理念を取入れています。
今回は、サスティナビリティを巡る課題への取組みの話しをします。
サスティナビリティを巡る課題への取組み
中長期的な企業価値の向上に向けて、リスクだけではなく、収益機会としてもサステナビリティを巡る課題へ積極的・能動的に対応することの重要性が高まっています。
そこで、プライム市場の上場企業に対して、TCFD 又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量を充実を求めることにしました(SDGsを経営に活かせるか?⑥参照)。さらに、サステナビリティについて基本的な方針を策定し自社の取組みを開示することを求めています。
補充原則2-3①に規定されています。
取締役会は、気候変動などの地球環境問題への配慮、人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適正な取引、自然災害等への危機管理など、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から、これらの課題に積極的・能動的に取り組むよう検討を深めるべきである。
上記のとおり、サスティナビリティを巡る課題への取組みについて、コーポレートガバナンス・コードは、「リスクの減少のみならず収益機会にもつながる」と明記しています。また、「中長期的な企業価値向上の観点から」積極的に取り組むことを求めています。
つまり、SDGsに関する問題は、その問題に取り組まないことで、単に企業が批判されるだけではなく、収益機会を失うことにつながることを明言しています。そして、SDGsに関する問題に取り組むことは、もはや企業の社会貢献ではなく、企業価値の向上に不可欠だという認識を示したといえます。
非財務情報の開示
補充原則3-1③では、非財務情報の開示について言及しています。
上場会社は、経営戦略の開示に当たって、自社のサステナビリティについての取組みを適切に開示すべきである。また、人的資本や知的財産への投資等についても、自社の経営戦略・経営課題との整合性を意識しつつ分かりやすく具体的に情報を開示・提供すべきである。 特に、プライム市場上場会社は、気候変動に係るリスク及び収益機会が自社の事業活動や収益等に与える影響について、必要なデータの収集と分析を行い、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべきである。
プライム市場の上場会社は、有価証券報告書に記載する方向で改正が検討されています。開示について、国際基準であるTCFD等に基づくことを求めていることも注目されます。
サスティナビリティ委員会
コーポレートガバナンス・コードではなく、投資家と企業の対話ガイドライン1-3では、サスティナビリティ委員会を設置することを求めています。
ESGやSDGsに対する社会的要請・関心の高まりやデジタルトランスフォーメーションの進展、サイバーセキュリティ対応の必要性、サプライチェーン全体での公正・適正な取引や国際的な経済安全保障を巡る環境変化への対応の必要性等の事業を取り巻く環境の変化が、経営戦略・経営計画等において適切に反映されているか。また、例えば、取締役会の下または経営陣の側に、サステナビリティに関する委員会を設置するなど、サステナビリティに関する取組みを全社的に検討・推進するための枠組みを整備しているか。
今後、サスティナビリティ委員会は、指名委員会等と同様、上場企業におけるガバナンス上の重要な委員会になると考えられます。
♪Mr.Children「こんな風にひどく蒸し暑い日」(アルバム:B-SIDE収録)