ストレス社会だからこそ重要なのが,メンタルヘルスケアです。そこで,メンタルヘルスケアの基礎をまとめておきます。
ストレスとは?
ストレスは,もともと,機械工学の用語です。物体に圧力や負荷がかかった状態のことをいうそうです。これを人の心身に当てはめたわけです。つまり,以下のようになります。
①心身に負荷をかける→ストレッサー
②心身がゆがんだ状態→ストレス反応
③ストレスから回復しようとする力→ストレス耐性
突然ですが,ソフトテニスのボールを想像してみてください。別に,ソフトテニスじゃなくても,ゴムボールだったら何でのいいですが…上記の①~③をそのボールでイメージすると,こうなります。
ボールを指で押す→①ストレッサー
ボールがへこんだ状態→②ストレス反応
ボールが元の形に戻ろうとする→ストレス耐性
ストレス≠悪
ストレスと聞くと,悪いものというイメージがあります。しかし,必ずしもそういうわけではありません。適度なストレスがパフォーマンスを高めることがわかっています。つまり,ストレスには,良いストレスと悪いストレスがあるのです。
重要なのは,自分にとって,どんなストレスがかかると不快になるのか?どのくらいのストレスで過重と感じるのか?を把握することです。
ストレス要因とストレス反応
どういったものが,ストレス要因(ストレッサー)になり,ストレス反応が生じると,どうなるのでしょうか?ストレス要因とストレス反応の主なものを挙げておきます。
ストレス要因
ストレス要因には,①誰もが体験するもの,②発達段階特有のもの,③職業特有のものがあります。以下,それぞれについて,主なものを挙げておきます。
①誰もが体験するもの
誰もが体験するストレス要因として,以下のものを挙げることができます。
環境的要因→気候等
身体的要因→睡眠不足,病気等
心理的要因→不安等
社会的要因→人間関係等
②発達段階特有のもの
まず,青年期に訪れる危機(ストレス要因)は,自分とは?という問題です。この時期は,アイデンティティやキャリア形成の時期です。自分の能力や適性を把握できず,キャリア目標を見つけられない,達成できないといった事態に陥ることがあります。ロールモデルとなる人,つまり,メンターを見つけることが重要です。
さらに,中年期には,人生の午後という危機が訪れます。40代以降は,仕事の専門性を維持しつつ,若手の育成も求められます。しかし,体力の衰え,仕事の伸びしろの有限性,家族のライフスタイルの変化に直面し,自分の人生は,これで良かったのか?という思いが芽生えてしまうのです。アイデンティティを取り戻し,人生観を再構築できるか?が重要です。
③職業特有のもの
たとえば,医師や弁護士といった職業は,高度な専門性が要求されます。職務として感情をめぐる高度なスキルが必要とされる感情労働では,感情の抑制・鈍麻,緊張,忍耐が必要不可欠で,ストレス要因になるでしょう。
また,共感疲労にさらされることもありえます。他人の苦しみ・悲しみに接したことで心身が疲労し,心のエネルギーが低下したり無気力状態に陥ることです。他人の支援をする支援者が間接的にトラウマ体験をすることで共感疲労にさらされることがあります。
他にも,経営者は,常に経営上の不安等にさらされているでしょうし,仕事で重要な判断を迫られるということもストレス要因になります。
ストレス反応
ストレス反応には,①身体的反応,②心理的反応,③行動的反応の3つがあります。これらが一時的であれば,問題はありません。しかし,慢性化すると,うつ病等の精神疾患,循環器・消化器・免疫系の疾患を発症することがあります。
自分の心や身体の状態,行動の変化,ストレッサーの種類・程度を客観的に気づき,適切な対処をすることが必要です。
①身体的反応
肩こり,不眠,疲労,頭痛,めまい等の症状が出現します。
②心理的反応
不安,イライラ,気分の落込み,気力・集中力低下等の症状が出現します。
③行動的反応
生活の乱れ,ギャンブル・飲酒への依存,暴言暴行,遅刻・欠勤等これまで見られなかった言動がみられるようになります。
♪Mr.Children「CENTER OF UNIVERSE」(アルバム:Q収録)