SDGsを経営に活かせるか?

今やSGDsという言葉を聞かない日はないというくらい浸透したSDGs,しかし,実際,SDGsを経営に活かせるのでしょうか?今回は,まず,SDGsの本質を理解しようという話しです。

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SDGsを経営に活かせるか?

 SDGsという言葉を聞かない日はないんじゃないかというくらい,誰彼構わず,SDGsと言っています。企業の経営者もこれ見よがしにSDGsのバッジをスーツの襟元に付けています。

 じゃぁ,実際,SDGsは経営に活かせるんだろうか?そんなことを考えたことはないでしょうか?ということで,SDGsを経営に活かせるか?を考えてみようと思います。第1回目は,大前提として,SDGsの本質,つまり,みんなSDGsを誤解してませんか?という話しです。SDGsって,サスティナブルでしょ?という人,必読です。

SDGsの本質を理解している?

 SDGs(Sustainable Development Goals)は,2015年9月に国連総会で加盟国の全会一致で採択された国際目標です。日本語では,持続可能な開発目標と訳してますが,SDGsの方が浸透しちゃってますね。

 2015年に採択されていたにもかかわらず,SDGsがメディアで騒がれ始めたのは,ここ数年のように思います。しかし,メディアがSDGsを取上げると,決まって,17の目標(ゴール)と169の数値目標(ターゲット)のみです。したがって,SDGsの本質を理解している人は案外,多くないのかもしれません。

 SDGsは,実は,第二次世界大戦後の国際社会が到達した人類共通の価値観なのです。SDGsの本質に迫ってみたいと思います。ということで,SDGsの話しをしますが,17のゴールと169のターゲットは一切出てきません。というか,17のゴールと169のターゲットだけ見ても,SDGsの本質は理解できません。

SDGsの構造

 2015年9月に採択されたSDGsの総会決議は,①前文,②宣言,③17のゴールと169のターゲット,④実施手段・グローバルパートナーシップ,⑤フォローアップ・レビューの5つのパートで構成されています。このうち,SDGsの本質が記載されているのが,前文なのです。

前文第一文

This Agenda is a plan of action for people, planet and prosperity. It also seeks to strengthen universal peace in larger freedom.

このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画である。これはまた、より大きな自由における普遍的な平和の強化を追求ものでもある。

 「in larger freedom」,日本語だと「より大きな自由」が,SDGsの本質に迫るキーワードです。なぜなら,自由は,第二次世界大戦後の国際社会と国連を根底から支えてきた概念だからです。

 ①1941年1月6日:米ルーズベルト大統領の一般教書演説で4つの自由(表現・信教,欠乏からの自由,恐怖からの自由)に言及

 ②1945年10月24日:国連憲章の前文にin larger freedom

 ③2005年3月:アナン事務総長報告のタイトルがIn Larger Freedom

 ④2015年9月25日:SDGsの前文第一文

 「in larger freedom」,「より大きな自由」とは,できることが多くなる,多くの選択肢から人生を選べるということです。自分らしく生きれると言い換えることができるかもしれません。

前文第2段落

All countries and all stakeholders, acting in collaborative partnership, will implement this plan. We are resolved to free the human race from the tyranny of poverty and want and to heal and secure our planet. We are determined to take the bold and transformative steps which are urgently needed to shift the world on to a sustainable and resilient path. As we embark on this collective journey, we pledge that no one will be left behind.

すべての国及びすべてのステークホルダーは、協同的なパートナーシップの下、この計画を実行する。我々は、人類を貧困の恐怖及び欠乏の専制から解き放ち、地球を癒やし安全にすることを決意している。我々は、世界を持続的かつ強靱(レジリエント)な道筋に移行させるために緊急に必要な、大胆かつ変革的な手段をとることに決意している。我々はこの共同の旅路に乗り出すにあたり、誰一人取り残さないことを誓う。

 そして,第2段落で,格差の解消と社会的小数者が排除されない社会を作ることを宣言しています。ここで重要なのは,誰一人取り残さない,すべての人が参画できる社会ということです。

 この誰一人取り残さないというのは,17のゴールと169のターゲットをいくら見ても書いてありません。

前文Planet

 SDGsといえば,気候変動だと思ってる人も多いと思います。前文で気候変動に触れていますが,ただ触れているだけではありません。

We are determined to protect the planet from degradation, including through sustainable consumption and production, sustainably managing its natural resources and taking urgent action on climate change, so that it can support the needs of the present and future generations.

我々は、地球が現在及び将来の世代の需要を支えることができるように、持続可能な消費及び生産、天然資源の持続可能な管理並びに気候変動に関する緊急の行動をとることを含めて、地球を破壊から守ることを決意する。

 ここでの重要なキーワードは,「present and future generations」です。現在と将来の世代のニーズに対応する,つまり,世代を超えて人類の理想を実現するぞと宣言しているのです。

宣言59段落

 宣言にも重要なワードが出てきます。

In these Goals and targets, we are setting out a supremely ambitious and transformational vision. We envisage a world free of poverty, hunger, disease and want, where all life can thrive. We envisage a world free of fear and violence. A world with universal literacy. A world with equitable and universal access to quality education at all levels, to health care and social protection, where physical, mental and social well-being are assured.

これらの目標とターゲットにおいて、我々は最高に野心的かつ変革的なビジョンを設定している。我々は、すべての人生が栄える、貧困、飢餓、病気及び欠乏から自由な世界を思い描く。我々は、恐怖と暴力から自由な世界を思い描く。すべての人が読み書きできる世界。すべてのレベルにおいて質の高い教育、保健医療及び社会保護に公平かつ普遍的にアクセスできる世界。身体的、精神的、社会的福祉が保障される世界。

 そのキーワードは,「well-being」です。この「well-being」は,自由とならび第二次世界大戦後の国際社会における重要な理念となっています。

 「well-being」は,健康とは,単に病気ではないことを超越した概念と考えられています。WHO憲章は,健康を病気でない,弱っていないということではなく,肉体的・精神的に,社会的にもすべてが満たされた状態(「well-being」)と定義しています。

SDGsの本質は4つ

 以上のことからSDGsの本質は,以下の4つだと考えられます。

  • ①世代を超えて
  • ②すべての人が
  • ③自分らしく
  • ④より生きられる

 つまり,SDGsは,世代を超えてすべての人が自分らしくより生きられる世界を作ろうという目標なのです。17のゴールと169のターゲットの何番をやってますというのにとどまってませんか?何のために,それをやってるのか?を理解してますか?何のために,スーツの襟元にSDGsのバッジを付けてるんですか?そんなことよりも,どんな世界を実現したいのか?を理解し,自分のパーパス(存在意義)を明確にすることが重要なのです。

SDGs思考

 SDGsをビジネスにどう生かすのか?SDGsの本質は何か?という話しは、「SDGs思考」という本に詳しく書かれています。著者の田瀬和夫氏は、外務省出身で国連の職員でもあった方です。2022年4月に続編も刊行されました。

♪Mr.Children「Brand new planet」(アルバム:SOUNDTRACKS収録)

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