ツイッターでツイートのスクショを投稿してはいけないかもしれないという話しです。
ツイッターにツイートのスクショを投稿
ツイッターに他のユーザーのツイートをスクショして,画像として投稿したことのある人は多いかもしれません。その行為,実は違法かもしれない?という話しです。
というのも,ツイッターにスクショを投稿することが著作権侵害だと判断した判決が出たからです。
東京地裁令和3年12月20日判決
Xさんがツイッターに投稿したツイートをAさん・Bさんがスクショして,そのツイートのスクショ画像をツイートしたことが著作権侵害だとして,スクショをツイートしたAさん・Bさんの発信者情報開示を求めた事案です。
争点は,ツイートをスクショして投稿することがXさんのツイートの著作権を侵害するのか?ということです。より詳しく言うと,著作権法32条1項の引用として許されるのか?が争点です。
他にも,そもそもツイートって,著作物なの?という争点もあります。これは,短い詩とか標語みたいな短文であっても,著作物なのか?という著作権法の争点の一つですが,ここでは,省略します。
ちなみに,ツイッターに対する発信者情報開示請求仮処分では,発信者情報開示が認められ,Aさん・BさんのIPアドレスとタイムスタンプがツイッターから開示されています。
裁判所の判断
本件各投稿は,いずれも原告各投稿のスクリーンショットを画像として添付しているところ,ツイッターの規約は,ツイッター上のコンテンツの複製,修正,これに基づく二次的著作物の作成,配信等をする場合には,ツイッターが提供するインターフェース及び手順を使用しなければならない旨規定し,ツイッターは,他人のコンテンツを引用する手順として,引用ツイートという方法を設けていることが認められる。そうすると,本件各投稿は,上記規約の規定にかかわらず,上記手順を使用することなく,スクリーンショットの方法で原告各投稿を複製した上ツイッターに掲載していることが認められる。そのため,本件各投稿は,上記規約に違反するものと認めるのが相当であり,本件各投稿において原告各投稿を引用して利用することが,公正な慣行に合致するものと認めることはできない。
また,前記認定事実によれば,本件各投稿と,これに占める原告各投稿のスクリーンショット画像を比較すると,スクリーンショット画像が量的にも質的にも,明らかに主たる部分を構成するといえるから,これを引用することが,引用の目的上正当な範囲内であると認めることもできない。
したがって,原告各投稿をスクリーンショット画像でそのまま複製しツイッターに掲載することは,著作権法32条1項に規定する引用の要件を充足しないというべきである。
判決をかみ砕くと
取上げた争点に関する判決文は,上記のとおりです。判決をかみ砕くと,ポイントは,2つです。
①ツイッターの利用規約によると,他人のツイートを引用する場合は,引用ツイートを利用することを想定していて,スクショして画像を投稿することは想定していない。規約に反して,ツイートをスクショして投稿することは,公正な慣行に合致しない。
要は,大部分のユーザーが,ちゃんと読んでないと思われる利用規約に従っていないことがダメだと判決は言っています。
この理屈でいうと,引用ツイートと使わずに,他人のツイートを投稿するのは,軒並みアウトということになりそうです。もっとも,下級審の判決なので,最高裁がこの理屈に乗っかるのかはわかりません。今後,同様の事件の判決が出てくることで,裁判所の考え方が明らかになってくることを期待しています。
②そもそも,投稿におけるスクショ画像が占める割合が大きすぎて,引用としての正当な範囲ともいえない。
著作物の引用は,一定の条件の下で,著作権侵害になりません(著作物の引用参照)。しかし,本件では,投稿に占めるスクショ画像が大きすぎて,引用としての要件を満たさないということです。
この理屈でいうと,仮に,ツイートをスクショして投稿することがセーフだとしても,やっぱり,引用の要件を満たさないことになります。
著作物の引用って,フランクに考えすぎですが,実は,結構,要件が厳しいので,引用のつもりでもアウトだということも珍しくありません。
♪Mr.Children「インマイタウン」(アルバム:[(an imitation) blood orange]収録)