消費者庁のアフィリエイト広告等に関する検討会で報告書が取りまとめられました。そこで,アフリエイターのために景品表示法の概略をまとめておきます。
優良誤認表示
優良誤認表示は,以下の2つの表示をいいます。
①商品やサービスの品質等について,一般消費者に対し,実際のものより著しく優良であると誤認させる表示
②事実に反して,同種・類似の商品・サービスを供給している他の事業者のものより,著しく優良であると誤認させる表示
①の具体例として,実際はカシミヤ50%のセーターにカシミヤ100%と表示することが挙げられます。
②の具体例としては,日本初の新機能搭載と表示しているが,その機能は他社の製品にも搭載されていることが挙げられます。
優良誤認表示とは?
以下の2つの要件を満たす場合,優良誤認表示と評価されます。
①優良と示す表示内容と実際の商品等の内容に相違がある
表示内容の解釈は,一般消費者が受ける認識・認容を基準に判断します。その判断は,表示内容全体から一般消費者が受ける認識・認 容を基準に総合的に行います。
また,事業者の故意・過失は問いません。つまり,結果的に優良誤認表示となってしまった場合も景表法違反となります。
②①の違いが,社会一般に許容される程度を超えて一般消費者による商品選択に影響を与えること
①の違いがあることを一般消費者が知っていれば,その商品等は選択しなかったということですが,この要件はかなり広く認定されます。結局のところ,①の要件を満たすと,優良誤認表示と評価されます。
打消し表示
優良誤認表示については,打消し表示の問題があります。強調表示との関係で問題になります。
強調表示
自分の商品・サービスをアピールするために,品質や価格等の内容を強調する表示です。
たとえば,「月額○○円」とか「業界ナンバー1」とか,「効果が最大10時間持続」といった表示を強調表示といいます。
打消し表示
打消し表示は,一般消費者が強調表示から通常予測できない事項で,商品・サービスの選択に当たり重要な考慮要素となる表示です。
たとえば,「〇〇割引を適用した場合です」とか,「一部例外があります」,「〇〇条件下での試験結果です」とか,「結果には個人差があります」といった,強調表示を打消す表示です。
なお,広告等で,「※個人の感想です」と表示している場合があります。しかし,これは打消し表示とは認められません。強調表示を打消す効果がないとされているからです。
打消し表示のチェックポイント
打消し表示を表示する場合は,以下の点を確認して問題ないと判断してから表示する必要があります。
①強調表示と矛盾しないか?
矛盾する場合,通常,一般消費者は強調表示のみから印象を受けます。つまり,打消し表示は無意味なのです。
②一般消費者が打消し表示を認識できるか?
強調表示を見た一般消費者は,通常,すべての商品・サービスが無条件・無制約に該当すると思います。一般消費者に打消し表示を認識させるために,明瞭に表示する必要があります。
③一般消費者が打消し表示を理解できるか?
打消し表示を一般消費者が認識できても理解できなければ,強調表示から印象を受けてしまいます。
②打消し表示を認識できるか?
要件というわけではありませんが,2017年の打消し表示に関する実態調査報告書の内容が参考になります。
(1)文字の大きさ
打消し表示を見落としてしまう大きさだと一般消費者が認識することはできません。表示媒体の特徴を踏まえ,一般消費者が実際に目にする状況に応じて適切な大きさで表示する必要があります。
(2)強調表示の文字の大きさとのバランス
打消し表示の文字の大きさが強調表示よりも著しく小さい場合,一般消費者は打消し表示を認識・理解できません。
(3)打消し表示の配置箇所
強調表示との距離だけでなく,(1)(2)も勘案されます。Webの場合,強調表示と打消し表示が1スクロール以上離れてるとアウトです。
(4)打消し表示と背景の区別
スマホにおける打消し表示の表示
スマホ向けサイトは,下に何度もスクロールしないとダメな縦に長い構成になっていることが多いと思います。
強調表示と打消し表示の距離は特に重要な要素とされています。強調表示を見た人がすぐに打消し表示があることを認識できることが必要です。したがって,打消し表示は強調表示に隣接した箇所(すぐ下等)に表示する必要があります。
打消し表示を表示しても,他の目立つ画像があったり,文字の大きさやその背景の色等が不適切だと,打消し表示の内容を認識できないことがあります。そのため,同じ枠・同じ背景色の中に強調表示と打消し表示を一体として表示する表示することが適切です。
一体表示との関係で,アコーディオンパネルを使ってしまうと,一体表示とは認められません。また,コンバージョンボタンの場合,とばしてしまうと一体性が否定されます。
有利誤認表示
有利誤認表示は,以下の2つの表示のことです。
①商品・サービスの価格等について,実際のものよりも,取引の相手方に著しく有利であると一般消費者が誤認する表示
②同種・類似の商品等を供給している他の事業者ものよりも,取引の相手方に著しく有利であると一般消費者が誤認する表示
①の例としては,住宅ローンで「〇月〇日までに申込めば,優遇金利を適用」と表示されていたが,実際は借入時期によって金利が決まるものだったというのが挙げられます。
②の例としては,「金利手数料無料は当社だけ」と表示していたが,実際は他社も同様のサービスを行っていたというのが挙げられます。
有利誤認表示の問題
有利誤認表示が問題となるのは,価格表示についての二重価格表示です。この問題は,価格表示ガイドラインが制定されています。ガイドラインは法令ではありませんが,事実上,法令と同等に扱われています。
たとえば,「通常価格〇〇円,セール価格××円」という表示において,最近相当価格の問題が実務上は重要です。複雑な問題なので,概略をまとめるという趣旨から外れるので,割愛します。
♪Mr.Children「擬態」(アルバム:SENSE収録)