国民投票法改正案の採決見送り,何が問題なのか?

2018年6月から提案されている国民投票法改正案は衆議院の憲法審査会で実質審議入りしましたが,採決は見送られるようです。改正案の概要と与野党が何で揉めてるのかを簡単に触れておきます。

国民投票法とは?

 日本国憲法を改正するには,①衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成で国会が発議し,②国民投票を行い,過半数の賛成が必要となります。

 日本国憲法の成立後,長らくこの国民投票のための法律が制定されてきませんでした。ようやく日本国憲法の改正手続に関する法律(通称,国民投票法)が平成19年5月18日に公布されました。

国民投票法改正案

 国民投票法の改正案は,公職選挙法が改正されたことに伴い,2018年6月から国会に提出されいますが,未だ成立していません。改正案の概要は次のとおりです。

  1. 投票人名簿の縦覧制度の廃止・閲覧制度の新設
  2. 在外投票人名簿への登録規定の整備
  3. 共通投票所制度の創設
  4. 期日前投票事由の追加
  5. 期日前投票所の投票時間の弾力的な設定
  6. 洋上投票の対象拡大
  7. 繰延投票期日の告示期限の見直し
  8. 投票所に入れる子どもの範囲の拡大

 これらは,公職選挙法の改正内容を国民投票法にも盛り込もうというものです。じゃぁ,何が問題なんでしょう?

国民投票法改正案の問題

 問題となっていのは,実は改正案に含まれていない条文です。要は,改正案の内容に問題があるというより,もともと国民投票法自体に問題があって,その改正はしないのか?ということです。その条文は,国民投票法105条の投票日前の国民投票運動のための広告放送の制限です。

何人も、国民投票の期日前十四日に当たる日から国民投票の期日までの間においては、次条の規定による場合を除くほか、放送事業者の放送設備を使用して、国民投票運動のための広告放送をし、又はさせることができない。

 国民投票運動とは,憲法改正に賛成してねとか反対してねという呼びかけとか勧誘です。105条は14日前からテレビやラジオのCMは規制されます。裏を返せば,それまではやりたい放題ということです。そうすると,資金力のある与党が視聴率の高い番組にバンバンCM出せば,国民投票の結果が歪められるんじゃないかというのが野党の主張です。

 ということで,この点を改正しない改正案は,本当に改正しないといけない点に手を付けてないという理由で野党は反対しているわけです。

♪Mr.Children「傘の下の君に告ぐ」(アルバム:BOLERO収録)

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