光メダカの販売で逮捕、カルタヘナ法ってなんだ?

遺伝子を組み替えた光メダカを販売したとして、カルタヘナ法違反による初の逮捕者が出ました。そもそも、カルタヘナ法ってどんな法律なのでしょうか?

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カルタヘナ法

 カルタヘナ法というのは、通称です。正式名称は、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」といいます。

 この法律は、遺伝子組換え生物等を使用等する場合の規制等を定めることで、生物多様性への悪影響の未然防止等を図ろうという法律です。法律の名称に「使用」という文言が含まれていることからわかるように、遺伝子組み換え生物の使用を全面的に禁止するのではなく、をちゃんと使おうぜという法律です。

主務大臣

 カルタヘナ法の主務大臣は、環境大臣・財務大臣・文部科学大臣・厚生労働大臣・農林水産大臣・経済産業大臣です。後述する第一種使用の目的・用途に応じて環境省+関係する省が審査を担当します。

カルタヘナ議定書

 「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律」をカルタヘナ法と呼んでいるのかというと、この法律がカルタヘナ議定書に基づいているからです。

 2000年1月、生物多様性条約特別締約国会議再開会合で、「生物の多様性に関する条約のバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書」が採択され、2003年6月に締結されました。カルタヘナ議定書は、遺伝子組み換え生物の国境を超える移動に関するルールを定めたものです。

 この議定書を日本で実施するために制定されたのが、カルタヘナ法です。

カルタヘナ法の概要

 カルタヘナ法は、遺伝子組み換え生物の使用を第一種使用と第二種使用の2つに分けて、それぞれについて規制措置等を規定しています。

第一種使用

 第一種使用は、食料や飼料としての運搬、農耕地での栽培といった開放系での使用です。たとえば、遺伝子組み換えのトウモロコシを輸入・流通・栽培するような場合です。

 第一種使用として遺伝子組み換え生物を使用するには、生物多様性に影響がないか審査を受け、承認されたもののみを使用することができます。

第二種使用

 第二種使用は、工場内や研究室内など環境への放出が生じない空間での使用です。第二種使用をするには、環境へ放出が生じないようにする拡散防止措置が適切かどうか審査があります。

カルタヘナ法に違反するとどうなる?

 遺伝子組み換え生物を使用しようと計画している人がこのブログを読んでいないと思うので、申請等の手続は省略して、罰則を見ておこうと思います。カルタヘナ法に違反するとどの程度の刑罰が科されるのでしょうか?

罰則はあんまり重くない

第三十八条 第十条第一項から第三項まで、第十一条第二項、第十四条第一項から第三項まで、第十五条第二項、第十七条第五項、第二十六条第二項若しくは第三項又は第二十九条の規定による命令に違反した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第三十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 第四条第一項の規定に違反して第一種使用等をした者

 偽りその他不正の手段により第四条第一項又は第九条第一項の承認を受けた者

第四十二条 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

 第十三条第一項の規定に違反して確認を受けないで第二種使用等をした者

 偽りその他不正の手段により第十三条第一項の確認を受けた者

 4条が第一種使用をする場合に承認を受けないといけないという規定です。10条は、4条1項に違反して第一種使用をしている人に遺伝子組み換え生物の回収等の必要な措置を講じるように命令できるという規定です。14条は第二種使用の措置命令です。

 ということは、承認を受けずに第一種使用をした場合は、6か月以下の懲役若しくは50万円以下の罰金又はその両方が科せられます。10条の措置命令に違反した場合の罰則は重くなって、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金又はその両方です。

 ちなみに、全然関係ありませんが、騙したり、暴行加えたり、脅迫したりなど、マイナンバー保有者の管理を害する行為によって、マイナンバーを取得すると3年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(番号利用法51条)。

 ということは、生態系に影響を及ぼすであろう遺伝子組み換え生物を無断で使用するよりも不正にマイナンバーを入手する方が刑罰が重いんですね。

詳しくは…

 カルタヘナ法について、詳しくは、以下の本を読んでみてください。

♪Mr.Children「東京」(アルバム:SUPERMARKET FANTASY収録)

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