どうする?インボイスへの対応

2023年10月から消費税のインボイス制度が開始されます。その対応をまとめてみました。

どうする?インボイス対応

 2023年10月から開始されるインボイス制度は、消費税額の計算における仕入額控除の方式に関する制度です。制度の概要は、消費税とインボイス制度の概要で書いてます。じゃぁ、具体的にインボイス制度にどう対応すればいいのか?という話しをします。

課税事業者の場合

 すでに消費税の課税事業者の場合は選択肢はありません。さっさっと適格請求書発行事業者として登録して、インボイスを発行すればいいだけです。

 おそらくですが、大半の事業者は、すでに請求書には、「本体価格」と「消費税」を分けて記載してるんじゃないかと思ってます。なので、インボイスを発行するのにそんなに手間はかからないハズです。ちょっと書式をいじれば大丈夫でしょう。

免税事業者の場合

 インボイス制度の対応が問題になるのは、消費税の免税事業者です。というのも、免税事業者はインボイスを発行できないからです。消費税法57条の2第1項括弧書きで、免税事業者が除外されているんです。

(適格請求書発行事業者の登録等)

第五十七条の二 国内において課税資産の譲渡等を行い、又は行おうとする事業者であつて、第五十七条の四第一項に規定する適格請求書の交付をしようとする事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、税務署長の登録を受けることができる。

 ということは、免税事業者は、このまま免税事業者でいくのか?それとも、課税事業者になってインボイスを発行するのか?の選択を迫られるのです。選択に当たっては、取引先がインボイスを必要としているのか?を確認する必要があります。

①顧客がすべて事業者ではない場合

 個人的に意味がある分類とは思えないんですが、インボイスの説明で必ず触れられているので、ここでも触れておきます。要するに、顧客が事業者ではなく消費者であれば、インボイスの発行を求められることはないので、課税事業者になってインボイスを発行する必要はないということです。

 ただ、顧客はすべて消費者でも、商品や原材料の仕入れをしている場合は、事業者である取引先からインボイスの発行を求められる可能性があります。商品や原材料の仕入れを一切必要としない事業者に限定した話しになります。

②取引先がすべて免税事業者の場合

 取引先がすべて消費税の免税事業者の場合は、取引先は消費税を納付しないので、仕入額控除をする必要はありません。つまり、インボイスは不要です。

 ということで、自分の取引先がすべて免税事業者の場合は、免税事業者のままで問題はありません。

③取引先が簡易課税事業者の場合

 取引先の中に消費税の課税事業者がいる場合でも、その事業者が簡易課税事業者の場合は、インボイスは不要です。

 簡易課税制度とは、売上高が5000万円以下の事業者が消費税の計算をする際に、売上高に仕入率をかけた金額を仕入税額にできるという制度です。

 消費税の納付額は、課税売上高×適用税率-仕入税額で計算します。仕入税額を計算するのにインボイスが必要なわけです。簡易課税の場合、業種ごとに予め仕入率が決まっています。たとえば、第1種事業の卸売業の場合は、90%です。なので、売上の90%を仕入税額として控除することができるのです。

 簡易課税事業者の場合は、仕入率が決まってるので、インボイスを用いて仕入税額を計算する必要がないので、インボイスは不要なのです。なので、取引先が簡易課税事業者の場合は、インボイスを発行する必要はないのです。

④取引先が普通の課税事業者の場合

 ということで、免税事業者のインボイス対応が必要なのは、取引先が簡易課税事業者ではない消費税の課税事業者の場合のみです。この場合、取引先からは、まず確実にインボイスの発行が求められます。

 インボイスを発行できないと取引先は仕入額控除ができないので、その分の値下げを求められるかもしれません。値下げに応じるかどうかは、両者の力関係によるのでしょう。ただ、経過措置があって、インボイスがない場合にいきなり全額仕入額控除できなくなるわけではありません。①令和8年9月までは80%、②令和11年9月までは50%は仕入額控除できるので、必要以上の値下げに応じないように注意が必要です。

軽減措置が設けられる?

 そんな中、政府与党でインボイス制度について中小零細事業者の負担軽減措置を設ける方向で検討していると報道されました。検討されてるのは、以下の2つのようです。

 というか、インボイス制度の導入は、消費税率をさらに引き上げるための前提条件なんだから、免税事業者もインボイスを発行できるようにすればすむ話しなんですけどね…

①少額の取引はインボイス不要

 少額の取引については、インボイスがなくても仕入額控除の対象になるようです。具体的にいくらまでの取引ならインボイスが不要なのかは、まだ決まってないようですが、1万円~3万円と報道されています。

②納付する消費税額を売上げの20%にする

 免税事業者がインボイスを発行するために課税事業者になった場合、当然、消費税を納付する必要があります。納付する消費税額を売上げの20%程度に押さえるみたいです。

♪Mr.Children「言わせてみてぇもんだ」(アルバム:シフクノオト収録)

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