新型コロナウィルス・緊急事態宣言の影響で売上げが50%以下になった事業者は,中小法人・個人事業主のための一時支援金の申請をしよう

緊急事態宣言の影響緩和のための一時支援金の申請が2021年3月8日に始まりました。支給要件を確認し,該当する場合は必ず申請しましょう。

ポイント①:緊急事態宣言の影響で1月~3月の売上げが50%以下になれば,業種関係なく申請できる。

ポイント②:緊急事態宣言が出てない地域の事業者も給付対象になる可能性がある

ポイント③:申請に当たっては税理士等の登録機関による事前確認が必要

ポイント④:一時支援金の金額は中小法人が最大60万円,個人事業主が最大30万円

中小法人・個人事業主のための一時支援金

 2021年1月に1都10府県に発令された緊急事態宣言の影響を緩和するため,中小法人・個人事業主のための一時支援金の申請が2021年3月8日から始まりました。一時支援金の額は,①中小法人は最大60万円,②個人事業主は最大30万円です。

 なお,一時支援金の申請期限は2021年5月31日までなので,要件に該当する事業者は,必ず申請しましょう。

一時支援金の給付対象

 まず,自分がこの一時支援金の給付対象になるのか?が重要です。一時支援金の給付対象は,以下の2つの要件を満たす必要があります。

①緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業の影響を受けた又は外出自粛の営業を受けた

 緊急事態宣言の影響を緩和するための一時支援金なので,緊急事態宣言によって何らかの影響を受けたことが必要になります。この要件さえ満たせば,業種・地域を問わず,給付対象になります。

 緊急事態宣言に伴い時短営業を行っている飲食店に納入している事業者が一時支援金の対象になると,マスコミでは報道されていることが多いですが,それに限りません。

 たとえば,ホテルや旅館を経営している場合,従前,宿泊客の大部分が,緊急事態宣言が出された地域からの宿泊客で,緊急事態宣言の影響により,宿泊客が大きく減少すれば,ホテルの所在地が緊急事態宣言の出てない地域でも給付対象になります。

 なお,飲食店については,時短営業に応じて協力金の支給を受けた場合は,一時支援金の給付対象外です。もともと,昼間のみの営業で協力金の支給対象外の飲食店は,一時支援金の給付対象になり得ます。

②2021年1月~3月の売上げが,2019年又は2020年1月~3月の売上げと比べ50%以上減少した

 ①の緊急事態宣言の影響により,2021年の1月~3月のどれか1か月の売上げが,前年(2020年)又は前々年(2019年)の同じ月と比べて50%以上減少したことが必要です。1月~3月の3か月すべてではなく,1か月でいいのがポイントです。

 なお,売上げが50%以上減少していても,緊急事態宣言の影響でなければ,給付対象外です。たとえば,緊急事態宣言の対象となっていない地域で,その地域の顧客のみを相手に営業している事業者は,緊急事態宣言の影響を受けていないと考えられるので,給付対象外です。

想定される給付対象事業

 政府が想定している一時支援金の給付対象事業の例をいくつか挙げておきます。一部給付対象外の事業もありますが,上記の要件を満たせば,業種関係なく給付対象になります。

①飲食店の時短営業の影響を受けた事業

 食品加工製造業(食肉加工業,水産加工業等),器具備品事業(食器・調理器具・店内備品販売事業等),サービス事業(広告事業,廃棄物処理事業等),流通関連事業(卸・仲卸業等),飲食品・器具備品等の生産者

②対面で個人向けに商品・サービスを提供するB toC事業

 旅行関係事業(宿泊事業,旅客運送事業等),文化・娯楽サービス事業(映画館,カラオケ等),小売事業(アパレル等),対人サービス事業(理容店,クリーニング店,マッサージ店,結婚式場等) 

一時支援金申請の流れ

 自分が一時支援金の給付対象だと分かれば,一時支援金のウェブサイトから申請をしましょう。

申請に必要な書類を準備

STEP
1

仮登録し申請IDを取得

一時支援金のウェブサイトから仮登録をします。

STEP
2

事前確認を受ける

申請に当たって,登録確認期間で事前審査を受ける必要があります。

STEP
3

マイページから申請する

一時支援金のウェブサイトからマイページにアクセスし必要事項を入力していきます。

STEP
4

一時支援金申請に必要な書類

 中小法人は,顧問税理士がいるでしょうから,ここでは,青色申告をしている個人事業主について,申請に必要書類をまとめておきます。申請に必要な書類は,以下の6種類になります。

①確定申告書類

 確定申告書類は2019年と2020年の2年分提出する必要があります。

 (1)確定申告書第一表の控え(2枚)
  2019年分:1枚、2020年分:1枚

 (2)所得税青色申告決算書(P1,P2)の控え(4枚)
  2019年分:2枚(両面)、2020年分:2枚

 (3)確定申告書第一表の控え(2枚)
  2019年分:1枚、2020年分:1枚

 (4)受信通知(メール詳細)(2枚)
  2019年分:1枚、2020年分:1枚

 (5)確定申告書第一表(2枚)
  2019年分:1枚、2020年分:1枚

 (6)所得税青色申告決算書(P1,P2)(4枚)
  2019年分:2枚(両面)、2020年分:2枚

②対象月の売上台帳

 2021年1月~3月の対象月の売上台帳の提出が必要です。書式・フォーマットの指定はないので,自分が使ってる経理ソフトのデータやエクセルでまとめたもの等で大丈夫です。また,書類やデータのタイトルが売上台帳でなくてもOKです。ただし,①「2021年〇月」と明記されていること,②売上合計額にマーカー等で印をつけておく必要があります。

③通帳の写し

 一時支援金の振込先の口座です。通帳の表紙と表紙をめくった面(1,2頁とも)を提出します。要は,金融機関,支店,口座種別,口座番号,口座名義がわかるようにしろということです。

④本人確認書類

 本人確認書類は,住所,氏名,顔写真のわかるものとされています。運転免許証,マイナンバーカードがあれば大丈夫です。写真付の身分証明書がない場合は,住民票+パスポート又は住民票+保険証で代替可能です。

⑤宣誓書・同意書

 一時支援金のウェブサイトから宣誓書・同意書を印刷して,申請者本人が直筆で署名した上で,その宣誓書・同意書をアップロードする必要があります。

⑥取引先情報

 2019年及び2020年1月~3月並びに2021年1月~3月の対象月の取引先情報を提出する必要があります。書式は,一時支援金のウェブサイトに掲載されています。

 顧客が法人の場合,①法人名,②法人番号,③連絡先を記入します。顧客が個人事業者であれば,①屋号等,②氏名,③連絡先を記載します。ちなみに,顧客が事業者でない個人の場合は,記入する必要はありません。

事前確認

 昨年,支給された持続化給付金で不正受給が相次いで見られたことからか,一時支援金の申請に当たっては,登録機関による事前確認が必要になります。

 事前確認は,申請者が①事業を行っているか,②給付対象かどうかを理解しているかを確認するとしています。具体的には,登録機関が,書類を準備できてるか?宣誓書の内容等について質疑を行い形式的な確認をするようです。つまり,登録機関が申請者が一時支援金の給付対象だというお墨付きを与えるわけではないということです。

 登録確認機関とは,認定経営革新等支援機関の認定を受けた①税理士,②中小企業診断士,③行政書士等,認定経営革新等支援機関に準じる機関として,①商工会議所,②農協,③銀行等,その他士業として,①税理士,②公認会計士,③中小企業診断士,④行政書士が該当します。登録確認機関は,一時支援金のウェブサイトから検索できます。

 融資を受けてる銀行や顧問税理士に訊いてみよう

 登録機関になっている機関の会員や顧問先,事業性融資先等であれば,給付対象かどうかを理解しているかについて電話のみで確認するだけで事前確認を終えることができます。たとえば,①事業資金の融資を受けてる銀行,②顧問税理士がいれば顧問税理士,③商工会議所の会員であれば商工会議所,に事前確認を依頼すれば大丈夫です。

♪Mr.Children「もっと」(アルバム:HOME収録)

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