結婚による皇室離脱に伴う一時金の金額

自民党の総裁選もさることながら,皇室の方がご結婚され皇室を離脱するのに伴う一時金の行方にも,やわかに注目が集まっています。そこで,その一時金についての法律の規定を見ておこうと思います。

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皇室経済法

 皇室経済法という法律があり,皇室に関する様々な費用について規定しています。皇族が婚姻することに伴い皇族を離れる場合の一時金についても,皇室経済法に規定されています。

皇族費

 皇室経済法に規定されている皇室の費用は,内廷費,宮廷費と皇族費の3つです。内廷費は,天皇・皇后・皇太子・皇太后等の内廷の皇族の日常の費用等のことです。宮廷費は,内廷費用以外の宮廷の費用です。内廷費と宮廷費は,今回の話しに関係ないので,これ以上は触れません。

第三条 予算に計上する皇室の費用は、これを内廷費、宮廷費及び皇族費とする。

 皇族費は,皇室経済法6条に規定があります。

第六条 皇族費は、皇族としての品位保持の資に充てるために、年額により毎年支出するもの及び皇族が初めて独立の生計を営む際に一時金額により支出するもの並びに皇族であつた者としての品位保持の資に充てるために、皇族が皇室典範の定めるところによりその身分を離れる際に一時金額により支出するものとする。その年額又は一時金額は、別に法律で定める定額に基いて、これを算出する。

 皇族が結婚によって,皇室を離れる際の一時金は,皇族費の一つとされています。

皇族が結婚によって,皇室を離れる際の一時金

 皇族が結婚によって,皇室を離れる際の一時金は,皇室経済法6条7項1号に規定されています。

⑦ 皇族がその身分を離れる際に支出する一時金額による皇族費は、左の各号に掲げる額を超えない範囲内において、皇室経済会議の議を経て定める金額とする。
一 皇室典範第十一条、第十二条及び第十四条の規定により皇族の身分を離れる者については、独立の生計を営む皇族について算出する年額の十倍に相当する額

 以下のとおり,皇室典範12条が,女性皇族が結婚によって,皇族の身分を離れることを規定しています。

第十二条 皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。

一時金のMAXは,1億5250万円

 では,実際に,一時金の金額を計算してみましょう。皇室経済法6条7項1号によれば,独立の生計を営む皇族の皇族費の10年分が上限とされています。

 ということは,まず,独立の生計を営む皇族の皇族費の算出をする必要があります。で,皇室経済法6条1項によると,定額に基づいて算出する必要があります。そして,独立の生計を営む皇族の皇室費は,定額の2分の1と規定されています。

三 独立の生計を営む内親王に対しては、定額の二分の一に相当する額の金額とする。

 したがって,定額の金額がわかれば,金額を算出することが可能なわけです。この定額は,皇室経済法施行規則8条に規定されています。

第八条 法第六条第一項の定額は、三千五十万円とする。

 以上のことから,一時金の金額は,以下の計算式で算出された

 3050万円×2分の1×10=1億5250万円となります。

 世間では,約1億3000万円という数字が飛び交っています。さっき,算出した1億5250万円は,上限,つまり,MAXの金額です。皇室経済会議によって,具体的な金額が決まるのですが,これまでの慣例上,MAXってことはないだろうということのようです。

 一時金を辞退するとか,辞退はできないとか,言われていますが,法律は,MAXの金額しか決めてないので,皇室経済会議で,当事者の意向を踏まえて,限りなく0に近い金額とすることもできなくはないんでしょうが,どうなるんでしょうか?

皇室の予算は一体?

 今回は,皇族が結婚によって,皇室を離れる際の一時金を取上げましたが,皇室経済法の規定に基づいて計算すれば,皇族が,年間どのくらいの予算を使っているか?とかも算出することも可能です。

 でも,そんなのめんどくさいという人は,「天皇家の家計簿」(宝島新書)を読めば,バッチリ書いてあります。

♪Mr.Children「I」(アルバム:SENSE収録)

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