屋外でのマスク着用の有無が話題になっているが、そもそもマスク着用義務なんてない話し

屋外でのマスク着用について、官房長官が人と距離を取っている場合は、マスク不要との方針を示しました。その後、屋外でのマスク着用の有無が話題になっていますが、そもそもマスク着用の義務なんてないという話しです。

マスク着用の義務はない

 コロナ禍で、我々は、外出する際は、マスクを着用してきました。欧米では、法律によって、公共交通機関や屋外でのマスク着用が義務づけられていましたが、日本では、マスク着用は、法律上の義務ではありません。政府や自治体がマスク着用しろって言うから、みんなマスクしてるから、感染を防ぐためとか、理由はいろいろあるんでしょうが、法的には、個々人の自由意思でマスクを着用してきました。

新型インフルエンザ等特別措置法の規定は?

 ホントにマスク着用義務がないのか、新型インフルエンザ等特別措置法の規定を見てみましょう。

緊急事態宣言下

 国民の自由を制限する度合いが最も大きいのが、緊急事態宣言下です。特措法45条が、緊急事態宣言下における協力要請等を規定しています。

(感染を防止するための協力要請等)
第四十五条 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、当該特定都道府県の住民に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる。
2 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項及び第七十二条第二項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。
3 施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを命ずることができる。
4 特定都道府県知事は、第一項若しくは第二項の規定による要請又は前項の規定による命令を行う必要があるか否かを判断するに当たっては、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴かなければならない。
5 特定都道府県知事は、第二項の規定による要請又は第三項の規定による命令をしたときは、その旨を公表することができる。

 2項以下は、営業自粛の根拠規定なので、今回は、関係ありません。関係するのは、1項です。1項で、緊急事態宣言下に、都道府県知事が住民に求めることができるのは、外出自粛等です。マスク着用は、「感染の防止に必要な協力」に当然、含まれます。が、それを強制する規定はありません。

 つまり、マスク着用してくださいとお願いすることができるにとどまります。

まん延防止等重点措置下

 次に、国民の自由を制限する度合いが大きいのは、まん延防止等重点措置下です。31条の6が協力要請等を規定しています。

(感染を防止するための協力要請等)
第三十一条の六 都道府県知事は、第三十一条の四第一項に規定する事態において、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある同項第二号に掲げる区域(以下この条において「重点区域」という。)における新型インフルエンザ等のまん延を防止するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該都道府県知事が定める期間及び区域において、新型インフルエンザ等の発生の状況についての政令で定める事項を勘案して措置を講ずる必要があると認める業態に属する事業を行う者に対し、営業時間の変更その他国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある重点区域における新型インフルエンザ等のまん延を防止するために必要な措置として政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。
2 都道府県知事は、第三十一条の四第一項に規定する事態において、当該都道府県の住民に対し、前項の当該都道府県知事が定める期間及び区域において同項の規定による要請に係る営業時間以外の時間に当該業態に属する事業が行われている場所にみだりに出入りしないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる。
3 第一項の規定による要請を受けた者が正当な理由がないのに当該要請に応じないときは、都道府県知事は、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすおそれがある重点区域における新型インフルエンザ等のまん延を防止するため特に必要があると認めるときに限り、当該者に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを命ずることができる。
4 都道府県知事は、第一項若しくは第二項の規定による要請又は前項の規定による命令を行う必要があるか否かを判断するに当たっては、あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴かなければならない。
5 都道府県知事は、第一項の規定による要請又は第三項の規定による命令をしたときは、その旨を公表することができる。

 1項に規定されている政令で定めるまん延を防止するための必要な措置がポイントです。施行令5条の5が具体的な措置を規定しています。

(重点区域におけるまん延の防止のために必要な措置)

第五条の五 法第三十一条の六第一項の政令で定める措置は、次のとおりとする。

一 従業員に対する新型インフルエンザ等にかかっているかどうかについての検査を受けることの勧奨
二 当該者が事業を行う場所への入場(以下この条において単に「入場」という。)をする者についての新型インフルエンザ等の感染の防止のための整理及び誘導
三 発熱その他の新型インフルエンザ等の症状を呈している者の入場の禁止
四 手指の消毒設備の設置
五 当該者が事業を行う場所の消毒
六 入場をする者に対するマスクの着用その他の新型インフルエンザ等の感染の防止に関する措置の周知
七 正当な理由がなく前号に規定する措置を講じない者の入場の禁止
八 前各号に掲げるもののほか、法第三十一条の四第一項に規定する事態において、新型インフルエンザ等のまん延の防止のために必要な措置として厚生労働大臣が定めて公示するもの

 まん延防止等重点措置は、コロナ禍に法改正したものです。なので、飲食店を狙い撃ちした感のある規定になっていて、協力要請等も国民に対してというより、事業者に対してをメインにしています。

 そのため、マスク着用も国民に直接ではなく、事業者が自分の経営する店舗等に客が入店する際にマスク着用を徹底しろという規定になっています。

 特措法31条の6第3項・80条1号で過料が科されるのは、強制といえば強制ですが、この規定は、国民ではなくて、事業者に対してなので、結局、国民に対してマスク着用を義務付けているわけではないのです。

マスク着用するかどうかは、国民が判断すればいい

 以上のように、日本ではマスクの着用義務なんてないんです。だから、マスクを着用する・しないは、各自で判断すればいいわけです。とはいえ、日本って同調圧力の強い国なんで、自分だけマスクを外すなんてことは、なかなかできないという問題はあって、だから、政府とかが一定の方針を示すことに意味はあると思っています。

 というか、2020年の夏も熱中症予防するため、屋外で人と距離があれば、マスク外していいって、政府言ってなかったっけ?

♪Mr.Children「Prism」(アルバム:DISCOVERY収録)

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