NFTは暗号資産?NFTの法律上の位置づけを考える

最近、メタバースであったり、NFTという言葉を聞かない日はないんじゃないかというくらい、言葉は浸透してきました。中には、メタバースやNFTでビジネスしようと考えてる人もいるかもしれません。NFTの法律上の位置づけを考えます。

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NFTとは?

 NFTは、Non-Fungible Tokenの略です。日本語では、非代替性トークンと呼ばれています。ちなにみ、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産が、Fungible Tokenなのです。

 NFTは、暗号資産と同様、ブロックチェーン上で発行されるトークンです。暗号資産との違いは、それぞれのトークンに属性や情報が付与されて、他のトークンと区別可能なことです。つまり、NFTのキモは、非代替性にあります。

 たとえば、みなさんの財布の中にある1万円札には番号が振ってあります。1枚1枚の1万円札は、それぞれ異なるもので区別することができます。しかし、通常、我々は、どの番号の1万円札か、なんて気にしていないハズです。つまり、1万円札には代替性があるのです。暗号資産も1万円札と同様です。AさんとBさんが、1ビットコインを交換しても、その価値に何の問題もなく、代替性があるのです。一方、NFTは、代替性がない、交換できないのです。

NFTの法律上の位置づけは?

 そんなNFTですが、法律上の位置づけは、どうなってるのでしょうか?結論から先にいうと、基本的には、何の規制も受けません。しかし、NFTでビジネスをする場合、ちゃんと制度設計しないと、大変なことになりかねません。

資金決済法2条5項

 暗号資産は、資金決済法で規制されています。暗号資産を定義しているのが、資金決済法2条5項です。

 この法律において「暗号資産」とは、次に掲げるものをいう。ただし、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三項に規定する電子記録移転権利を表示するものを除く。

 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

 1号は、ビットコインやイーサリアムなどの決済手段性のある暗号資産のことです。問題は、2号です。NFTは、この2号暗号資産に該当する可能性があるのです。

2号暗号資産

 2号の「電子情報処理組織を用いて移転することができるもの」とは、トークンのことです。問題は、「不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値」かどうか?です。

 NFTの発行者が、NFTを法定通貨で販売する・ビットコインやイーサリアムと交換する、第三者がNFTの販売所・取引所サービスを行う、いずれも2号に該当しそうです。

NFTが暗号資産に該当するとどうなる?

 仮に、NFTが暗号資産に該当すると、どうなってるのでしょうか?NFTが暗号資産に該当するということは、そのNFTの販売や暗号資産との交換や販売所・取引所サービスは、暗号資産交換業に該当する可能性が高くなります。

 暗号資産交換業を営むには、暗号資産交換業者として、登録する必要があります。登録するには、PDFで73頁くらいの膨大な質問票に裏付けとなる資料とともに回答しないといけません。登録後も法律による情報の安全管理や利用者財産の分別管理といった行為規制が及びます。さらに、JVCEA(日本暗号資産取引業協会)の加入・自主規制の遵守も必要です。

NFTは暗号資産なのか?

 典型的なNFTは、ERC721規格に基づいて発行されます。これは、イーサリアムのネットワーク上で動作するので、必然的にイーサリアムと交換可能です。現に、OpenSeaという世界最大規模のNFTマーケットプレイスが存在します。したがって、NFTは、2号暗号資産に該当しそうです。

 ところが、資金決済法は、資金決済サービスの適切な実施や安全性、効率性、利便性の向上を目的とする法律です。つまり、資金決済法による規制は、資金決済手段について及ぶのだと考えることができます。

 1号のビットコインやイーサリアムなどの暗号資産は、実際に決済手段として使ってるかどうかは別として、決済手段としての機能を有していることが要件になっています。2号暗号資産には、そのような要件はありませんが、資金決済法の目的から、2号暗号資産についても、決済手段として機能することを要件として解釈することが可能です。

 金融庁は、2019年9月3日のパブコメへの回答で、ブロックチェーン上に記録されたゲーム内のアイテム等について、暗号資産と交換可能であっても、上記のように決済手段としての機能を持たない場合は、暗号資産に該当しないと回答しています。

 NFTが暗号資産に該当するか?のポイントは、以下の3つです。

 ①決済手段性を失わせるほどの個別性があるか?

 ②同種のものの存在がどの程度許容されてるか?

 ③その性質は永続的なものか?

 もっとも、暗号資産に該当しないとしても、有価証券に該当しないのか?とか、賭博罪に該当しないか?とか、景表法に引っかからないか?といった点も検討する必要があります。

詳しくは、この本がオススメ

 NFTの法律上の位置づけをざっと考えてみました。詳しくは、こちらの本がオススメです。

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 NFTって何?って人向けの本としては、以下の本がいいんじゃないかと思います。目次の前に一問一答が掲載されていて、わからないとこだけ詳しく読むといった読み方もできます。

♪Mr.Children「HERO」(アルバム:シフクノオト収録)

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