アメリカ大統領の権限が強い理由

この記事の作成中は,アメリカ大統領選挙の真っただ中ですが,アメリカ大統領の権限が強い理由を紐解こうという話しです。

アメリカ大統領の権限

 大統領のいる国は,アメリカ以外にもありますが,国家元首と行政府の長を兼ねてるのは,アメリカぐらいなんじゃないかと思います(調べてない…)。

 アメリカ大統領は,議会から独立した存在です。議会が任命するわけではなく,国民が直接選びます(選挙人を選ぶという間接選挙にはなっているが)。そのため,大統領は,議会に対して責任は負わず,国民に対してのみ責任を負います。議会は大統領に対する不信任を突きつけることはできず,また,大統領も議会を解散することはできません。大統領は議会が可決した法案を拒否することが可能です。さらに,法的権限を持つ命令である大統領令を発することもできます。

 というように,アメリカ大統領は,他の国の大統領と違い,かなり強力な権限を持っているといえます。アメリカ大統領が強力な権限を有しているのは,イギリスから独立したからといえます。

近代市民革命の年表

 近代市民革命の代表は,フランス革命だ!ということで,フランス革命については詳しく勉強する機会があると思います。ただ,近代市民革命を年代順に並べると以下のようになります。フランス革命は,一番最後でいわば,市民革命の集大成だったわけです。

1642年~ピューリタン革命

イギリス,チャールズ1世の専制政治を議会派が打倒。一時共和制を樹立するも頓挫。独裁政治から王政復古に至る。

STEP
1

1688年~名誉革命

イギリス,議会がジェームズ2世を追放,共同統治者としてウィリアム3世とメアリー2世を擁立。即位の条件として権利宣言を承認,権利章典の制定。立憲君主制の確立

STEP
2

1775年~独立戦争

アメリカ,イギリス本国とアメリカ東部13州のイギリスから独立をかけた戦争。合衆国憲法制定,連邦共和国家樹立。

STEP
3

1789年~フランス革命

フランス,市民革命の代表。絶対王政,封建的特権体制の打破。人権宣言,憲法制定,共和制の樹立。

STEP
4

イギリスの市民革命は,王はけしからんがスタート

 ピューリタン革命,名誉革命を経て,イギリスは,国王の専制政治から立憲君主制の国になります。イギリスの市民革命は,王一人に権力が集中するのは,けしからんという発想からスタートします。

 そして,国王が持ってた立法,行政,司法をそれぞれ,議会,内閣,裁判所に分立させます。国民が直接選ぶ議会が,首相を指名し,国王が任命する。首相が内閣を組閣するという議院内閣制をとることになります。イギリスでは,議会に大きな信頼を置いているわけです。

アメリカは,議会はけしからんがスタート

 市民革命を年代順で並べると,アメリカの植民地政策は,イギリス議会が決めていたことが自ずとわかります。つまり,アメリカは,イギリスと違って,議会はけしからんという発想になります。

 そこで,独立戦争後,統治機構は,いかに議会の権限を抑えるかということを焦点にします。そのため,行政府の長を議会ではなく,国民が直接選び,議会を牽制する存在にしたわけです。アメリカの独特の大統領制は,歴史の流れを見ることで,その理由がわかるということです。

 以上の話しは,大学の比較憲法の講義で聞いて,おーそうなのか!とちょっと感動した話しで,どっかでしたいなと思っていました。ちょうど,アメリカ大統領選挙の最中なので,ちょうどいいかなということで,ツラツラと書きました。ホントは,統治機構の図を挿入すれば,もっとわかりやすいんだろうけど,そんな技術がないので,文章だけで,押し切りました。

♪Mr.Children「ロックンロールは生きている」(アルバム:SENSE収録)

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