不動産を貰うとろくなことがない…

プロ野球ヤクルトスワローズの村上選手がシーズン最終戦で56号本塁打を打ったので、スポンサーから3億円相当の住宅をプレゼントされるそうです。村上選手の年俸なら問題ないんでしょうが、不動産なんてプレゼントされてもはた迷惑だという話しです。

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不動産をめぐる課税関係は8通り

 AがBに不動産を贈与します。この場合の民法上の法律関係は、AB間の贈与契約の1つです。しかし、税法上は、8通りの課税関係が考えられます。

 というのも、ABが個人か法人かによって課税関係が異なるからです。ということで、以下、不動産取得価格を1億円・相続税評価額を3億円・実勢価格を5億円という例で、課税関係を考えてみましょう。

①個人A→個人B

 最初は、個人Aが個人Bに不動産を贈与する場合です。この場合は、Bに課税金額3億円の贈与税が課税されます。

②個人A→法人B

 個人Aが法人Bに不動産を贈与する場合です。Aはあげた側ですが、課税金額4億円(5億円-1億円)の所得税(譲渡所得)が課税されます。もらった側のBは、課税金額5億円の法人税(受贈益課税)が課税されます。

 5億円の法人税が課税されると書きましたが、正確には、益金に5億円を算入することになります。ここでのポイントは、あげた側のAも課税されてしまうということです。

③法人A→個人B

 法人Aが個人Bに不動産を贈与する場合です。今回の村上選手はこのケースに該当します。

 まず、Aに課税金額4億円の法人税が課税されます。Bには、課税金額5億円の所得税(受贈益課税)が課税されます。ここでのポイントは、贈与を受けたBに所得税が課税されることです。贈与というと、贈与税をイメージします。贈与税は、相続税の補完税です。要するに、生前贈与することで、相続税を回避するのを防止する税金なのです。贈与税法という法律はなく、贈与税は相続税法の21条以下に規定されています。ということは、相続が発生しない法人については、贈与税は観念できないのです。

 ということで、村上選手には、所得税が発生します。新築の3億円の家みたいなので、実勢価格も3億円なんでしょう。ということは、課税金額3億円の所得税が課税されます。所得税が発生するということは、住民税も発生します。村上選手の年俸から払えないということはないでしょうが、実はありがた迷惑なのかもしれません。

(贈与税の課税)

第二十一条 贈与税は、この節及び次節に定めるところにより、贈与により財産を取得した者に係る贈与税額として計算した金額により、課する。

④法人A→法人B

 最後は、法人Aが法人Bに不動産を贈与する場合です。Aに課税金額4億円の法人税が課税されます。Bに課税金額5億円の法人税が課税されます。

無償で贈与したのに課税される…

 以上4つのケースで課税関係を見てきました。無償で贈与したAは①以外は、何らかの課税がされます。無償で贈与したにもかかわらず課税されるのは違和感がありますが、税法では、ちゃんとした根拠があって、納得できますが、難しい話しになるので、今回は省略します。気になる方は、所得税法・法人税法の本を読んでみるのもいいかもしれません。

♪ウカスカジー「My Home」(アルバム:AMIGO収録)

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