新型インフルエンザ等特措法のまん延防止等重点措置の要件について,政令の条文を見ておこうと思います。
まん延防止等重点措置
新型コロナウィルスの感染拡大に伴い,新型インフルエンザ等特措法が改正され,まん延防止等重点措置が新たに設けられました(新型インフルエンザ等特措法のまん延防止等重点措置参照)。
特措法は,まん延防止等重点措置の要件について詳細を政令に委ねていました。その政令が官報に掲載されていたので,政令の条文を見ておこうと思います。
まん延防止等重点措置の要件
政令が定めるまん延防止等重点措置の要件は,以下のとおりです。
特定の地域が属する都道府県における新型インフルエンザ等感染症の患者及び無症状病原体保有者の発生の状況,当該都道府県における感染症患者等のうち新型インフルエンザ等に感染し,又は感染したおそれがある経路が特定できない者の発生の状況,特定の区域における新型インフルエンザ等の感染の拡大の状況その他の新型インフルエンザ等の発生の状況を踏まえ,当該都道府県において①新型インフルエンザ等の感染が拡大するおそれがあると認められる場合であって,当該感染の拡大に関する状況を踏まえ,②当該都道府県の区域において医療の提供に支障が生じるおそれがあると認められるときに該当する。
括弧書きとかいろいろ省いてもまだ,長々と書かれてますが,ポイントは,①感染の拡大のおそれがあると認められる,かつ,②医療提供体制に支障が生じるおそれがあると認められる場合に,まん延防止等重点措置の要件を充足することになります。
ちなみに,緊急事態宣言の要件も同時に改正されていて,①一つの都道府県の区域を超えて感染の拡大・まん延していると認められ,かつ,②医療提供体制に支障が生じていると認められることが要件になっています。
要件に感染の拡大だけではなく,医療提供体制に支障が生じているかどうかを加えたことがポイントとなっています。つまり,感染が拡大していても,医療提供体制に支障が生じていないのであれば,緊急事態宣言は出せないということです。これは,まん延防止等重点措置でも同じで,医療提供体制に支障が生じるおそれが要件としては必要です。
まん延防止等重点措置の要件は,「感染の拡大のおそれ」とか,「医療提供体制に支障が生じるおそれ」という形で,ぼやっとしています。問題は,誰が,どうやって要件に該当するかを判断するのか?ということです。法律上は政府対策本部長である総理大臣ですが,実際に判断するのは総理ではないわけで…まん延防止等重点措置を出さずに,緊急事態宣言の発令に陥るようなことがあると,政権にとっては致命的でしょう。
報道では,新型コロナウィルス感染症対策分科会の指針のステージⅢがまん延防止等重点措置,ステージⅣが緊急事態宣言とされています。もっとも,そんなこと,政令の条文には一言も書いていません。
もっとも,ワクチンの接種が始まり,新型コロナウィルスの感染に抑えられれば,これらの危惧は杞憂に終わりますが,果たして,どうなるんでしょう?
♪Mr.Children「未来」(アルバム:I ♥ U収録)