法律の勉強をするのに欠かせないのが,基本書。そんな基本書にも時代の流れで移り変りがあります。そんな移り変りを書き留めておく基本書今昔物語,今回は民法の債権総論です。
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司法試験の基本書今昔物語
法律を学ぶ上でかかせない基本書。年々,新しい基本書が出版され,かつて不動の人気を誇った基本書も段々と人気がかげるなんてこともしばしば。そんな基本書の移り変わりを今昔物語と題して書き記しておこうと思います。
僕が実際に使ってた又は当時人気だった基本書を①学部時代,②ロースクール時代,そして③最近,人気の基本書を取り上げようかと思います。ちなみに,③最近,人気の基本書は正直,よく知らないので,人づてに聞いた話しだったり,ネットのレビューから推測しています。
今回は,抽象的でイメージしづらく個人的に苦手だった分野の民法の債権総論編です。
学部時代の債権総論の基本書
学部時代に使っていた債権総論の基本書は,内民こと,内田貴「民法Ⅲ債権総論・担保物権」です。民法総則編と民法物権編でも取り上げましたが,学部時代は民法の基本書は,すべて内民でした。
内民は,判例をベースにしたケースを掲げ,そのケースについて解説するというスタイルを取っています。そんな内民の最大の特徴は,民法のパンデクテン方式をあえて,無視した構成になっていることです。以下のように,民法Ⅲは債権総論と担保物権を金融法としてまとめて取り上げています。
この内民,もう改訂されないと思ってましたが,2020年4月に,民法Ⅲが改訂され,債権法改正に対応しました。その他も順次改訂されていくようです。
ロースクール時代の債権総論の基本書
ロースクール時代に使っていた債権総論の基本書は,潮見佳男「プラクティス民法 債権総論」です。
債権総論について,780以上のケースを用いて説明するというスタイルです。ただし,ケースに対して直接,答えが書いてあるわけではありません。抽象的な債権総論を具体的なイメージをもって説明しているということです。
この本の欠点を挙げるとすると,文献の引用が一切ないこと,必ずしも判例・通説の立場を前提としているわけではないということです。文書自体は読みやすいので,この欠点に目をつぶれるならお勧めです。
最近の債権総論の基本書
ロースクール時代から,上記の潮見プラクティスと人気を二分していた基本書が,中田裕康「債権総論」です。
中田・債権総論は,初学者から実務家まで幅広く使える基本書です。学説の整理も秀逸です。初学者は,学説の細かな部分を読み飛ばして,判例・通説部分だけ読むといった使い方もできます。
司法試験の基本書でいうと,潮見プラクティスと中田・債権総論のどっちかを使っておけば,問題ないかと思います。個人的には,読みやすさは,潮見プラクティス,司法試験合格後も長く使えるのは,中田・債権総論って感じです。
♪Mr.Children「タガタメ」(アルバム:シフクノオト収録)