法律の勉強をするのに欠かせないのが,基本書。そんな基本書にも時代の流れで移り変りがあります。そんな移り変りを書き留めておく基本書今昔物語,今回は刑事訴訟法です。
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司法試験の基本書今昔物語
法律を学ぶ上でかかせないのが基本書です。そんな基本書ですが,年々,新しい基本書が出版されています。そして,かつて不動の人気を誇った基本書の人気がかげるなんてこともしばしば。そんな基本書の移り変わりを今昔物語と題して書き記しておこうと思います。
僕が実際に使ってた又は当時人気だった基本書を①学部時代,②ロースクール時代,そして③最近,人気の基本書を取り上げようかと思います。ちなみに,③最近,人気の基本書は正直,よく知らないので,人づてに聞いた話しだったり,ネットのレビューから推測しています。
刑事訴訟法
今回取り上げるのは,刑事訴訟法です。文字通り,刑事裁判の手続を規定した法律です。民事訴訟法と異なり,裁判前の捜査についても詳細な規定を置いているのが特徴です。
司法試験的に言うと,いわゆる論点は決まってるので,割ととっつきやすい科目かなと思います。個人的な刑事訴訟法の基本書の選び方は,訴因の説明がわかりやすいかどうかだと思っています。
学部時代の刑事訴訟法の基本書
学部時代に使っていた刑事訴訟法の基本書は,田宮裕「刑事訴訟法」です。講義でテキストに指定されていたので何も考えずに選んだ本です。かなり古いので,現在,この本を基本書に使うという選択肢はないでしょう。
強制捜査で新しい強制処分説を主張しているのが特徴です。割と読みやすい本ですが,訴因変更の説明で,鴨川の水の流れがどうのこうのという説明が,あまり理解できませんでした。
ロースクール時代の刑事訴訟法の基本書
ロースクール時代に使ってた刑事訴訟法の基本書は,①裁判所職員総合研修所監修「刑事訴訟法講義案」と②田口守一「刑事訴訟法」の2冊です。
メインで使ってたのは①です。この本は,裁判所書記官の研修用の教材なので,判例実務に即した本です。数だけでなく,分量として判例の引用が多いのが特徴です。実は,訴因変更の説明で,はじめて腑に落ちたのが,この本でした。ただ,捜査については分量が少なく,別の基本書で補う必要があります。
②は,捜査について①を補う目的で使ってました。コンパクトで無難にまとめてる基本書という感じです。ちなみに,訴因変更で独自説を採っています。
最近の刑事訴訟法の基本書
最近人気の刑事訴訟法の基本書は,①宇藤崇・松田岳士・堀江慎司「刑事訴訟法」と②酒巻匡「刑事訴訟法」の2冊かなと思います。
①は,有斐閣のリークエことリーガルクエストシリーズの刑事訴訟法版です。判例通説をしっかり解説している本です。証拠法の部分は秀逸です。ところどころ,よくわからない記述がある気がします。そこに目をつぶれが,この1冊で大丈夫でしょう。
②は,もともと法学教室の連載でしたが,大幅に加筆修正された本です。基本書というか体系書としては最高峰の本でしょう。他の学説の紹介がほとんどないのがマイナスな点です。
①と②に割って入れそうなのが,吉開多一・緑大輔・設楽あづさ・國井恒志「基本刑事訴訟法」です。この本は,1の手続理解編と2の論点理解編の2分冊なのと,執筆者が研究者+法曹三者なのが特徴です。
手続理解編は,刑事訴訟法の論点には立ち入らず,捜査から上訴までの手続を解説する本です。刑事訴訟法の入門書に位置付けられます。公判での具体的なやり取りも記載されてたり,実務を意識して書かれています。
論点理解編は,論点集+演習書的な感じの本です。かなりわかりやすいので,今後,上記①と②の基本書に割って入ってくるかもしれません。
♪Mr.Children「水上バス」(アルバム:SUPERMARKET FANTASY収録)