司法試験の基本書今昔物語-憲法編-

法律の勉強をするのに欠かせない基本書。基本書にも時代の流れで移り変りが,そんな移り変りを書き留めておく基本書今昔物語,今回は憲法編です。

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司法試験の基本書今昔物語

 司法試験の受験生にとって基本書選びは重要です。でっかい本屋へ行くと,数々の基本書が出版されていて,どれを選べばいいのか?迷ってしまうこともしばしば。自分に合う基本書を見つけるのがいいんだけど,都合よく見つからない。そんなときは,とりあえずみんな読んでる人気の基本書に手を出してみるのがいいかも。

 そんな基本書ですが,時代が進むにつれて,どんどん新しい基本書が出てきて,かつての人気の基本書がその地位を明け渡すなんてこともしばしば。そこで,僕が実際に使ってた又は当時人気だった基本書を①学部時代,②ロースクール時代,そして③今,人気の基本書を取り上げようかと思います。ちなみに,③今,人気の基本書は正直,よく知らないので,人づてに聞いた話しだったり,ネットのレビューから推測しています。

学部時代の憲法の基本書

 学部時代に読んでた憲法の基本書といえば,芦部信喜著・高橋和之補訂「憲法」(岩波書店)です。

 日本の憲法学の大家である芦部先生のエッセンスを1冊に凝縮した基本書です。定番中の定番の基本書で,憲法といったらまず芦部というくらいの本です。とはいえ,人権と統治機構を1冊に凝縮したため,行間を読む必要があって,わかった気にはなるんだけど,ちゃんと理解するのは難しいという本です。でも,もともとは放送大学の講義用のテキストが元になっているらしく文章は非常に読みやすいです。

 芦部先生の死後は,弟子の高橋先生が補訂をして改訂され続けてますが,本文には手が加えられておらず,最新の議論は別の本でフォローする必要があります。

ロースクール時代の憲法の基本書

 ロースクール時代の憲法の基本書といえば,野中俊彦,中村睦男,高橋和之,高見勝利著「憲法Ⅰ」「憲法Ⅱ」(有斐閣)です。

 通称四人組と呼んでた基本書です。Ⅰが人権でⅡが統治機構になっています。文章はそんなに読みやすくはなかったという印象です。情報量は半端なく,ほとんどのことは書いてあるので,辞書的な感じで使ってました。最近,改訂されてないので,情報はだいぶ古くなってるんじゃないかと思います。

最近の憲法の基本書

 最後は最近の憲法の基本書です。これに関しては,完全に推測になってしますが,司法試験業界で三段階審査説が有力になってるとか,なってないとか。

 ということで,三段階説で書かれた基本書としては,渡辺康行,宍戸常寿,松本和彦,工藤達朗著「憲法Ⅰ」「憲法Ⅱ」(日本評論社)が最近人気なのかも。最近,統治機構部分のⅡが出版されました。

 司法試験の憲法は,これと判例集でもよくない?と思うのが,安西文雄,巻美矢紀,宍戸常寿著「憲法学読本」(有斐閣)です。薄くて読みやすく,一見すると入門書かと思いきや,歴史・外国との比較等高度な内容も言及してあって,かなりいい本だと思いました。

 さらに,受験雑誌で上位だったのが,木下智史,伊藤建著「基本憲法Ⅰ」(日本評論社)です。学者と弁護士との共著という珍しい本です。判例重視なので司法試験で使いやすいということが人気の理由なのかもしれません。また,各章の最後に演習問題がついていて解説が載ってるので,憲法の論文苦手という人には,願ったりかなったりかと。ただ,人権部分しか出版されていないので,必然的に統治機構は別の本を読む必要があります。

♪Mr.Children「また会えるかな」(アルバム:B-SIDE収録)

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