司法試験の基本書今昔物語-会社法-

法律の勉強をするのに欠かせないのが,基本書。そんな基本書にも時代の流れで移り変りがあります。そんな移り変りを書き留めておく基本書今昔物語,今回は会社法を取上げます。

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司法試験の基本書今昔物語

 法律を学ぶ上でかかせない基本書。年々,新しい基本書が出版され,かつて不動の人気を誇った基本書も段々と人気がかげるなんてこともしばしば。そんな基本書の移り変わりを今昔物語と題して書き記しておこうと思います。

 僕が実際に使ってた又は当時人気だった基本書を①学部時代,②ロースクール時代,そして③最近,人気の基本書を取り上げようかと思います。ちなみに,③最近,人気の基本書は正直,よく知らないので,人づてに聞いた話しだったり,ネットのレビューから推測しています。

会社法

 法学部のカリキュラムでは,商法は,①総則・商行為,②会社法,③手形・小切手,④海商・保険の4つの科目に分かれています。その内,司法試験の受験科目になっているのは,①~③です。その中でも,②会社法がメインになっています。

 会社法は,法改正が多く,基本書を買い替える頻度が多い科目で,財布にやさしくないのが,玉に瑕です。

学部時代の会社法の基本書

 学部時代に使っていた会社法の基本書は,弥永真生「リーガルマインド会社法」です。この本を使ってたのは,総則・商行為で,弥永先生の「リーガルマインド商法総則・商行為法」を使ってたので,その延長線上で,会社法も使ってました。ちなみに,「リーガルマインド手形法・小切手法」もあります。

 理由付けが丁寧で,通説に近い見解を取ってるのが特徴でしょうか。ただ,個人的には,会社法制定後の改定で,組織再編の部分の記述が読みにくいと感じたので,それ以降,使うのを辞めてしまいました。

ロースクール時代の会社法の基本書

 ロースクール時代に使っていた基本書は,①江頭憲治郎「株式会社法」と②神田秀樹「会社法」です。

 ①江頭先生の基本書は,「鈍器本が流行っているので,法律書の鈍器本をいくつか挙げておく」で取上げたように,1114頁の辞典です。通読する用の本ではないので,調べもの用として使ってました。実務に出ても使える本,というか,実務家がみんな使ってるといっても過言ではない本です。ただ,司法試験的には,かなりオーバースペックだと思います。鈍器本なわりに,索引があまり良くなくて,どこに書いてあるのか?探すのに,ちょっと時間がかかること,注釈に重要なことが書かれていたりすることが,マイナスかなと思います。

 ②神田先生の基本書は,膨大な会社法をコンパクトにまとめた本です。通読向きです。しかし,本文は,条文と結論しか書いてないことも多く,初学者には,薄すぎて不向きです。

最近の会社法の基本書

 最近人気の会社法の基本書として,3つ挙げておきます。会社法の基本書は,事実上,この3冊の中から選択することになるでしょう。

 まずは,伊藤靖史・大杉謙一・田中亘・松井秀征「会社法(LEGAL QUEST)」です。有斐閣のリークエことリーガルクエストシリーズの1冊です。たぶん,リークエの中でもダントツ人気なんじゃないかと思います。ケースをもとに解説するという会社法では珍しいスタイルを取っているのが特徴です。非常に読みやすく,結論も判例の立場に立ってることが多い本です。司法試験には,これ1冊でいいんじゃないかと思っています。

 次に紹介するのは,髙橋美加・笠原武朗・久保大作・久保田安彦「会社法」です。赤白本とか紅白本とか呼ばれていて,人気の基本書の一つのようです。判例・通説の立場で書かれた本です。

 最後に紹介するのは,田中亘「会社法」です。上記のリークエの著者の一人でもある田中先生の単著です。これ1冊で,司法試験から実務まで使える本です。ケースやコラムが多いこと,会社の計算のところで会計の知識についてページ数を割いてることなどが特徴として挙げられます。

♪Mr.Children「everybody goes -秩序のない現代にドロップキック-」(アルバム:BOLERO収録)

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