法律の勉強をするのに欠かせないのが,基本書。そんな基本書にも時代の流れで移り変りがあります。そんな移り変りを書き留めておく基本書今昔物語,今回は刑法各論です。
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司法試験の基本書今昔物語
法律を学ぶ上でかかせない基本書。年々,新しい基本書が出版され,かつて不動の人気を誇った基本書も段々と人気がかげるなんてこともしばしば。そんな基本書の移り変わりを今昔物語と題して書き記しておこうと思います。
僕が実際に使ってた又は当時人気だった基本書を①学部時代,②ロースクール時代,そして③最近,人気の基本書を取り上げようかと思います。ちなみに,③最近,人気の基本書は正直,よく知らないので,人づてに聞いた話しだったり,ネットのレビューから推測しています。
刑法各論
法学部のカリキュラムえは,刑法は,①総論と②各論の2科目に分かれています。①総論は,犯罪が成立するか?を検討します。一方,②各論は,被告人の行為は,窃盗罪に当たるのか?詐欺罪に当たるのか?あるいは横領罪に当たるのか?等,被告人の行為について,何罪が成立するのか?を検討します。
刑法総論編で,刑法には,行為無価値と結果無価値に学説が二分されているという話しをしました。刑法各論に関しては,行為無価値と結果無価値の立場の違いは,総論ほど気にしなくていいでしょう。
学部時代の刑法各論の基本書
学部時代に使っていた刑法各論の基本書は,前田雅英「刑法各論講義」です。刑法総論編でも取上げた前田先生の基本書の各論版です。判例に親和的であることが特徴です。
かつては,司法試験受験生のシェアNo1くらいの勢いでしたが,最近は,使ってる人いないんじゃないだろうか…1個前の第6版でリニューアルされ,頁数が大きく減りました。とはいえ,570頁以上あります。
ロースクール時代の刑法各論の基本書
ロースクール時代に使っていた刑法各論の基本書は,西田典之「刑法各論」です。西田先生は,結果無価値の立場に立っています。この本は,総論で行為無価値の基本書を使っている人もこぞって,使っていました。
実務的な議論も展開されているにもかかわらず,分かりやすく,判例解説などに引用されることが多く,定評のある基本書,権威のある基本書の一つといってもいいでしょう。
西田先生は,すでにお亡くなりになり,その後の法改正や重要判例などの補訂を橋爪隆先生によって行われています。基本的に,原文はそのままで,原文に挿入する形で判例が紹介されています。法改正により,原文を書き換える必要がある場合は,全面的に書き換えられています。
最近の刑法各論の基本書
最近人気の刑法各論の基本書は,大塚裕,十河太朗,塩谷毅,豊田兼彦「基本刑法Ⅱ各論」でしょう。刑法総論編で紹介した基本刑法の各論版です。特に,こだわりがなければ,総論と同様,この本でいいんじゃないかと思います。
総論と同様,判例の立場から書かれた基本書です。各論は,基本的な事例を使って,各犯罪について,基本的な解説を行っています。そのあとで,設問を使い,いわゆる論点について解説しています。司法試験対策としてもウェートの高い財産犯についても,判例の立場を分かりやすく解説されています。
♪Mr.Children「REM」(アルバム:REFLECTION {Naked}収録)