司法試験の基本書今昔物語-担保物権編-

法律の勉強をするのに欠かせないのが,基本書。そんな基本書にも時代の流れで移り変りがあります。そんな移り変りを書き留めておく基本書今昔物語,今回は民法の担保物権編です。

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司法試験の基本書今昔物語

 法律を学ぶ上でかかせない基本書。年々,新しい基本書が出版され,かつて不動の人気を誇った基本書も段々と人気がかげるなんてこともしばしば。そんな基本書の移り変わりを今昔物語と題して書き記しておこうと思います。

 僕が実際に使ってた又は当時人気だった基本書を①学部時代,②ロースクール時代,そして③最近,人気の基本書を取り上げようかと思います。ちなみに,③最近,人気の基本書は正直,よく知らないので,人づてに聞いた話しだったり,ネットのレビューから推測しています。

 今回は,民法のラスボスだと個人的に思っている担保物権編です。担保「物権」というくらいなので,物権法の知識が必要です。が,あくまでも債権の担保であることによる制約であったり,相違があります。また,担保物権は,債権の「担保」なので,債権総論の知識も必要だったりします。なので,ラスボス感があると思っています。

学部時代の担保物権の基本書

 学部時代の民法といえば,もちろん,もうおなじみの内民こと,内田貴「民法Ⅲ債権総論・担保物権」です。民法総則編民法物権編民法債権総論編民法各論編でも取り上げています。

 内民は,判例をベースにしたケースを掲げ,そのケースについて解説するというスタイルを取っています。そんな内民の最大の特徴は,民法のパンデクテン方式をあえて,無視した構成になっていることです。

 民法Ⅲは債権総論と担保物権を金融法としてまとめて取り上げています。そして,内民を順番通りに読むと,担保物権は,債権法で一番最後に勉強することになります。前述した担保物権の特徴からすると,債権法の最後に担保物権を学ぶのは,合理的なのかもしれません。

 ①民法Ⅰ:総論・物権総論

 ②民法Ⅱ:債権各論

 ③民法Ⅲ:債権総論・担保物権

 ④民法Ⅳ:親族・相続

 この内民,もう改訂されないと思ってましたが,2020年4月に,民法Ⅲが改訂され,債権法改正に対応しました。その他も順次改訂されていくようです。

ロースクール時代の担保物権の基本書

 ロースクール時代に使ってた担保物権の基本書は,道垣内弘人「担保物権法」です。現代民法Ⅲとされていて,シリーズものっぽいんですが,民法に関していうと,担保物権しか刊行されていません。現代民法別巻として「信託法」は刊行されています。

 担保物権の基本書の中で,理論的に最高峰といっても過言ではない本です。実務での折に触れて参照しています。正直,司法試験には,ちょっとオーバースペックかもしれませんが,実務でも使える本です。

最近の担保物権の基本書

 最近の担保物権の基本書で人気なのは,松井宏興「担保物権法」でしょう。ケースを掲げ,判例・通説を解説していくスタイルです。260頁と薄く通読も苦になりません。薄すぎて不安という人もいるかと思いますが,道垣内説とかにも触れてるので,この本から他の基本書へとステップアップしやすいです。

 個人的には,物権法編でも紹介した安永正昭「講義物権・担保物権法」を挙げておきます。

♪Mr.Children「Starting Over」(アルバム:REFLECTION {Naked}収録)

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