2020年11月12日 2024年1月19日 sir.child

離婚の慰謝料の相場は100万円？

離婚と聞くと慰謝料を思い浮かべる人がいるかもしれません。海外セレブの高額慰謝料が話題になることがありますが，日本の離婚裁判ではどの程度の慰謝料が認められるんでしょうか？

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離婚事件における慰謝料

　夫婦が離婚に至った際に，当事者の一方がもう一方に対して慰謝料を支払わなければいけないことがあります。すべてのケースで慰謝料が発生するわけではありません。

　離婚における慰謝料は，法律的には，①離婚を余儀なくされたことに対する慰謝料と②離婚原因となる個々の不法行為に対する慰謝料の２つに分けられます。もっとも，離婚事件の裁判では，①としての慰謝料として請求されることがほとんどです。

　①と②の違いを夫の不倫が原因で離婚するという場合で説明します。①は，夫が不倫をしたことにより，夫婦関係が壊れて，離婚を余儀なくされたことによって生じた精神的苦痛が損害となり，慰謝料が発生します。②は，夫の不倫によって精神的苦痛を被ったことが損害となり，慰謝料が発生します。

　ケース研究という雑誌の322号に「離婚訴訟における離婚慰謝料の動向」という論文が掲載されています。ちょっと古いのですが，参考に紹介します。なお，紹介するデータは以下が前提です。

　①平成24年4月～平成25年12月までの東京家裁で裁判となった離婚事件を対象

　　調停や当事者の合意で決まった金額ではないということです。

　②判決によって裁判所の判断が示された事件が対象

　③さらに，当事者双方で慰謝料の有無，金額について争いのある事件が対象

　以上，①～③に該当する203件の判決を対象に，慰謝料の金額について分析がなされています。

　離婚訴訟の原告（慰謝料を請求した側）がどのくらいの慰謝料を請求したか？というデータです。

　慰謝料を請求する側としては，とりあえず，500万円くらい請求しとく？みたいな感覚なんでしょうか？請求金額とその件数は以下のとおりです。

　上記の原告の請求に対して裁判所がどの程度の金額を慰謝料として認めたのか？というデータです。そもそも，一部でも慰謝料が認められたのは75件で認容率は37%にとどまります。つまり，慰謝料を請求しても，ほとんどの事件では，裁判所は慰謝料を認めていません。

　平均認容額は153万円，最高額は700万円，最低額は10万円となっています。最も件数の多い認容額は100万円で，次に件数の多い認容額は200万円となっています。

　慰謝料の金額をいくらにするかは，何か基準があるわけではなく（過去の裁判例の動向等が参考にはなるが拘束されるわけではない），裁判官の裁量です。裁判官も100万円くらい認めとく？みたいな感覚なのかもしれません。

　主な慰謝料の原因別のデータは以下のとおりです。

　以上の東京家裁の離婚事件の慰謝料の動向をみると，そもそも，離婚事件で慰謝料が認められる事案が少ないこと，認められても慰謝料の金額は高くないことがわかります。

　また，慰謝料が認められた事案は，不貞と暴力がほとんどで，精神的圧迫（モラハラを含む）は，請求件数は最も多いにもかかわらず，ほとんど認められていないことがわかります。

　高額の慰謝料を請求することに固執するのは，得策ではないのかもしれませんね。

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　離婚に限らず、慰謝料全般について、裁判例をまとめた本

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♪Mr.Children「ありふれたLove Story ～男女問題はいつも面倒だ～」（アルバム：深海収録）

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