裁判官は法廷では黒い法服を着ています。では,裁判所はなぜ法服を着ているんでしょう?
裁判官が法服を着る理由
裁判官というと,黒い法服を着て無表情で法廷の上の壇上に座ってる映像がニュースなんかでよく流れます。裁判官が法服を着ているのは,黒い法服を着ることで何物にも染まらないぞ!という裁判官の職業倫理の表れということなんでしょうね。
と思い調べてみると,101回国会の参議院法務委員会で最高裁長官代理が答弁していました。その答弁によると,法廷が,手続が非常に厳粛かつ秩序正しく行われなければならない場所であることを前提に,①公正さと人を裁く職責の厳しさをあらわすとともに,②裁判官自ら法服を着ることで①の立場にあることを自覚させることが目的だそうです。
これで解決としてもいいんですが,そういうことを調べてたんじゃないんです。裁判所法を見ても,裁判官は法服を着なければならないなんていう条文は存在しません。そう,法的根拠を調べてたんです。
裁判官の制服に関する規則
裁判官が法服を着る法的根拠は,偶然にも,上記の国会での答弁に出てきましたネ。裁判官の制服に関する規則(昭和24年4月1日最高裁判所規則第5号)という最高裁規則です。
ちょっと話しが脱線しますが,最高裁規則って,e-Gov法令検索で出てこないんですよねぇ~裁判官の制服に関する規則とかは出てこなくてもいいんだけど,民訴規則や刑訴規則も出てこないのは,どうかと思います。裁判所のHPに載ってますが,めちゃくちゃ使い勝手が悪い!
閑話休題,裁判官の制服に関する規則の本文が国立国会図書館の官報のアーカイブに載ってました。やっと見つけた…どうも,法服ではなくて単に制服なんですネ。「黒色羽二重の地質」で図面が載ってますが,こんなんだったっけ?
どうも平成4年に改正されたようです。で通達で具体的なデザインが決められているようです。この時,女性用の法服が制定されています。
弁護士にも法服があった!?
という裁判官が法服を着る法的根拠を調べる過程で弁護士にも法服があったことがわかりました。弁護士職服 (明治26年4月5日司法省令第4号)というので帽子と上着が決められています。戦前は,弁護士も法服を着てたのかぁ~
この省令,特に廃止手続が取られた形跡はありません。しかしながら,国立国会図書館のデータベースでは実効性喪失とされていて,もちろん,現実に弁護士は誰も法服なんて来てません。
♪Mr.Children「Dance Dance Dance」(アルバム:Atomic Heart収録)