ブラット・ピット主演でハリウッド映画化された伊坂幸太郎「マリアビートル」を紹介します。
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マリアビートル
伊坂幸太郎「マリアビートル」(角川文庫)を紹介します。この小説、なんとブラット・ピット主演のハリウッド映画「Bullet Train」の原作です。
「マリアビートル」は、殺し屋シリーズの2作目です。1作目が「グラスホッパー」(角川文庫)で3作目が「AX」です。それぞれ、世界観を共有していて、共通の登場人物が登場することもありますが、直接の続編というわけではありません。なので、いきなり、本作を読んでも大丈夫です。
主な登場人物
木村雄一:元殺し屋、アル中。息子の渉をデパートの屋上から突き落とした王子に復讐するため、「はやて」に乗り込む。映画ではアンドリュー・小路が演じる。
王子慧:一見すると優等生に見える中学生だが、悪魔のような狡猾さで人を意のままに操り、様々な悪事を働く。映画ではジョーイ・キングが演じる。
蜜柑と檸檬:2人組の殺し屋、双子や兄弟に間違われる。蜜柑は小説好きで、檸檬はきかんしゃトーマス好き。映画では蜜柑をアーロン・テイラー=ジョンソン、檸檬をブライアン・タイリー・ヘンリーが演じる。
七尾:とにかくついてない殺し屋。業界では天道虫と呼ばれ、真莉亜からの仕事を請負う。映画ではブラット・ピットが演じる。
真莉亜:七尾に仕事を斡旋する仲介屋、七尾に指示だけし真莉亜自身が動くことはない。七尾曰く、中国拳法が得意らしい。映画ではサンドラ・ブロックが演じる。
木村茂・晃子:木村の両親、元殺し屋。王子に命令された木村に呼ばれ、「はやて」に一ノ関から乗車する。映画では木村茂を真田広之が演じる。
あらすじ
東京発盛岡行の東北新幹線「はやて」の車内という密室で殺し屋たちによって繰り広げられる物語です。
どうでもいい話ですが、現在、東京発着の「はやて」の運行は終了し、後継の「はやぶさ」に置き換えられています。現在、「はやて」は、盛岡・新青森-函館北斗間でのみ運行しています。
閑話休題、ネタバレになると面白くないので、導入部分のあらすじをまとめておきます。
木村は息子の渉をデパートの屋上から突き落とした王子に復讐するため、王子が「はやて」に乗車するという情報を掴み、「はやて」に乗車した。一方、王子は、木村が元殺し屋だったことや、自分に復讐しようとしていることを知りながら、あえて「はやて」に乗るという情報を流し、木村を「はやて」に誘い込んだ。木村が王子の座席に近づいたところ、王子は木村にスタンガンを使い電気ショックを与え気絶させた。そして、木村を拘束した。
木村を拘束した王子は、意識不明の渉が入院している病院の近くに待機している人間がいること、王子と連絡がつかない場合や王子からゴーサインが出た場合、渉を殺すようになっていることを木村に告げる。
蜜柑と檸檬は、闇社会の大物の峰岸の依頼を受け、誘拐された峰岸の息子を救出し、息子と身代金の入ったトランクとともに、「はやて」に乗り込んだ。しかし、2人が目を離したすきに何者かにトランクは奪われ、峰岸の息子は殺されてしまった。
七尾は、真莉亜から「はやて」に乗り、荷物を奪い上野駅で降りるという簡単な仕事だと言われて、「はやて」に乗り込んだ。「はやて」の発車間際に真莉亜から奪う荷物の情報を聞いた七尾は、無事にトランクを奪い、上野駅で降りようとするが、因縁があった殺し屋の狼に見つかり、上野駅で下車できなかった。それどころか、新幹線が揺れた拍子に狼を絞め殺してしまう。
「はやて」が上野駅に到着すると、蜜柑と檸檬は、ホームの端に立ち、車内から降りてくる人間がいないかを確認した。トランクを奪った人間がまだ「はやて」にいることを確認すると、檸檬が車内をチェックし始めた。
七尾が狼の死体に困っていると、王子が「大丈夫ですか」と声をかけてきた。王子はトランクの存在に気づき、七尾に尋ねる。七尾はなんとか王子をやり過ごす。七尾は、ダストボックスの壁に小さな突起があることに気づく。七尾が手を伸ばして押すと、金具のようなものが飛び出し、それを捻ると、開いた。壁だと思っていた部分はパネルになっていて、中に空洞があったため、七尾はトランクをそこに隠した。そして、狼の死体を座席に座らせた。七尾は、真莉亜から自分たちが仕事の大元の依頼主が峰岸だとわかったと告げられた。
車内をチェックしていた檸檬は、デッキで王子と出会った。王子に何か探してるのか?尋ねられた檸檬は、黒いトランクを探していると言う。王子はそのトランクを持った人を見かけたといい、檸檬にわざと反対の方向を教える。
そして、王子は、七尾が隠したトランクを見つけ、木村にトイレでトランクの鍵を開けさせるよう命じる。七尾は、トランクがなくなっていることに気づき、大宮駅で下車せずにそのまま「はやて」に乗り続けた。
一方、蜜柑は、大宮駅で車内を確認するために待機していた峰岸の部下と接触した。異常はないと報告するためだ。しかし、檸檬が、すでに死んでいる峰岸の息子の左手を持ち、無理やり手を振らせるように左右にゆすり始めた。峰岸の息子の死体が生きてる人間がするには、あり得ない不自然な動きをしたため、峰岸の部下は目を見開き硬直した顔つきになり、携帯電話でどこかへ連絡しだした。
以上、大宮駅までのおおまかなあらすじです。東北新幹線は大宮駅からが本番で、物語もここからが本番です。主要登場人物が4組いるので、それぞれの視点で物語を楽しむことができるのも「マリアビートル」の特徴です。
♪Mr.Children「FIGHT CLUB」(アルバム:REFLECTION {Naked}収録)