2024年3月16日に北陸新幹線の金沢-敦賀間が開業します。敦賀延伸後の北陸新幹線の運行パターンがJR西日本から発表されています。事前の予想と違うことも多かったので、まとめてみました。
北陸新幹線
北陸新幹線は、全国新幹線整備法に基づいて、東京-新大阪間を北陸周りで結ぶ整備新幹線です。
1997年に東京-長野間が長野新幹線として開業しました。そして、2015年に長野-金沢間が開業し、東京-金沢間の北陸新幹線となりました。金沢から先、新大阪へ延伸するわけですが、2024年3月に途中の敦賀まで延伸されます。しかし、敦賀から先の新大阪までは、工事の目途すらたっていない状況です。
敦賀延伸後の運行パターン
2023年8月30日、JR西日本と東日本から北陸新幹線の敦賀延伸後の運行パターンが公表されました。たぶん、こんな感じになるよねというのを鉄道がある程度好きな人は、予想していたはずです。が、結構、予想外の内容も含まれてました。というわけで、北陸新幹線の敦賀延伸後の運行パターンを見ていきましょう。
①東京-敦賀間直通は14往復
東京-敦賀間を通しで運行される新幹線は、「かがやき」「はくたか」合わせて14往復です。北陸新幹線の最速達種別「かがやき」が9往復で、「はくたか」が5往復です。
東京-敦賀間は、最速達で3時間8分、東京-福井間は、最速達で2時間51分となります。後述するように、この時間は、最速達なので、実際はというか、平均すると、もっと時間はかかります。
②金沢-敦賀間で停車タイプの「かがやき」が登場
北陸新幹線の最速達種別は、「かがやき」です。東海道線・山陽新幹線の「のぞみ」「みずほ」、東北・北海道新幹線の「はやぶさ」に相当します。
そんな「かがやき」は、東京-金沢間は、大宮、長野、富山しか停まりません(上野は停車するのもある)。とうことで、金沢-敦賀間も途中、福井にしか停まらないと思ってました。が、1日4往復ですが、金沢-敦賀間で福井以外の途中駅に停車するタイプが登場します。実際は、4往復すべてが、小松、加賀温泉、芦原温泉、越前たけふに停車するわけではなく、その内の何駅かに停車するんだと思います。これらの各駅は2往復「かがやき」が停車します。
山陽新幹線の「のぞみ」は、割と色んな駅に停まるんで、JR西日本は、新幹線の最速達を色んな駅に停めるのが好きなんでしょう。
③「サンダーバー」「しらさぎ」と接続する「つるぎ」は1日25往復
北陸新幹線の敦賀延伸に伴い、関西、名古屋から金沢間を走る在来線特急の「サンダーバー」と「しらさぎ」は、敦賀までとなります。で、敦賀駅で北陸新幹線の「つるぎ」と接続します。これが、1日25往復ということです。
ダイヤまでは、公表されてませんが、「サンダーバー」と「しらさぎ」の両方と接続する「つるぎ」も出てくるはずです。両方の乗客を「つるぎ」でまかなえるんだろうか?とちょと疑問が。
④各駅停車じゃない「つるぎ」が登場
北陸新幹線の「つるぎ」は、北陸新幹線の金沢延伸に伴い、「サンダーバー」の金沢-富山間が廃止されたことに伴って登場しました。現在の「つるぎ」は、金沢-富山間をシャトルランしている列車です。金沢-富山間は、途中、新高岡しか駅がなく、新高岡にも停まるので、なんとなく「つるぎ」は各駅停車というイメージを勝手に持ってました。
敦賀延伸後は、1日9往復、金沢-敦賀間で、途中、福井にしか停まらない「つるぎ」が登場します(内5往復は富山まで)。富山までの13往復と金沢までの3往復の「つるぎ」は、各駅停車です。
⑤「サンダーバー」は「はくたか」に接続しない
「サンダーバー」が接続するのは、「つるぎ」のみです。大阪からだと、正直、福井や金沢までだと、敦賀延伸による時短効果は、そんなに享受できません。が、金沢から先、長野とかは、敦賀延伸による時短効果を結構、享受できると思います。なので、敦賀で「はくたか」に接続して、長野とかに行く需要を拾うんじゃないかと思ってました。しかし、「サンダーバー」は「つるぎ」にしか接続しません。
ということで、大阪から長野へ行く人は、これまで通り、名古屋経由でっていう人が多そうです。
⑥「サンダーバー」「しらさぎ」は敦賀まで
大阪-金沢間を結ぶ在来線特急「サンダーバー」は、敦賀までとなります。これは、予想どおりです。
そして、名古屋・米原-金沢間を結ぶ在来線特急「しらさぎ」も敦賀までとなります。「しらさぎ」は廃止されるんじゃない?とも言われてただけに、ちょっと意外でした。しかも、米原-敦賀間の45.9㎞の約30分間だけを走る「しらさぎ」が1日7往復も残るのは、意外でした。まぁ、米原-敦賀間を新快速という名の普通-新快速は米原から各駅停車-になるで行くと、1時間14分かかるので、「しらさぎ」を残す需要があるってことなんでしょうね。
⑦大阪-福井、金沢間の時短効果は微妙
北陸新幹線の敦賀延伸で、気になるのは、新幹線による時短効果です。大阪、名古屋からは、これまで「サンダーバー」「しらさぎ」で1本で福井、金沢まで行けたのに、敦賀延伸後は、敦賀駅での乗換えを余儀なくされます。乗換えの手間をチャラにできるほどの時短効果はあるのでしょうか?
大阪から福井、金沢、富山までの最速達の所要時間は、以下のとおりです。
えっ、大阪-福井間って、最速達で3分しか短縮されないの!?
列車って、同じ駅間・同じ種別でも列車によって所要時間が異なります。それは、前を走る列車が詰まってたりするからです。たとえば、博多-東京間を最速で運行するのは、博多駅を18時59分に発車する「のぞみ64号」です。博多-東京間を4時間46分で結びます。同じ博多-東京間を走る「のぞみ」でも博多駅を17時に発車する「のぞみ52号」は、博多-東京間を4時間57分で結びます。
つまり、最速達で走る新幹線なんか、早朝か最終の新幹線で1日1本か2本くらいなんです。ということは、大阪-福井間は、ほぼ、「サンダーバー」1本で行ける現在の方が早いわけです。特急料金は値上げされ、乗換えの手間がかかって時短効果はなしという結果に。福井県が、「サンダーバー」を敦賀止まりにしないでとJR西日本に要望していたのも頷けます。
一方、金沢は、時短効果を享受できます。が、現在は、大阪-金沢間は、乗換えなしで「サンダーバー」1本で行けます。金沢も平均すると、10数分の短縮なので、特急料金の値上げと乗換えの手間を考えると、微妙な感じですよね。
ということで、大阪-福井、金沢間の時短効果は微妙ですよね。新大阪まで延伸されないと、北陸新幹線は関西からの効果は、あんまない感じですね。
⑧名古屋-福井、金沢間の時短効果も微妙
名古屋から福井、金沢は、現在、「しらさぎ」1本で行くことができます。北陸新幹線の敦賀延伸で名古屋からは、どの程度の時短効果があるんでしょうか?
名古屋から福井、金沢、富山までの最速達の所要時間は、以下のとおりです。
大阪より時短効果がないんじゃないかと思います。しかも、この所要時間は、名古屋-米原間を東海道線、米原-敦賀間を「しらさぎ」に乗って、敦賀から「つるぎ」に乗換えた場合です。名古屋からだと2回乗換えて、最速達で3分とか16分短縮されるにとどまるのです。しかも前述のとおり、最速達なんて1日1本か2本くらいです。
⑨特急「能登かがり火」は残る
金沢-和倉温泉間で運行されてる特急「能登かがり火」号は、北陸新幹線の敦賀延伸後も残るようです。これもちょっと意外でした。というのも、「サンダーバー」も「しらさぎ」も敦賀止まりになるので、金沢に特急車両の681系・683系が来ることがなくなります。その一方で、「能登かがり火」のために、金沢駅に681系・683系を連れてこないとダメだからです。当然、車両の保守・点検等も必要で、めんどくさいんで、思い切って廃止されるんじゃと思ってました。
「能登かがり火」が残るということで、鉄道好きは、これまで通り681系・683系で運転されるんだろうと勝手に思っています。ただ、JR西日本は、1日5往復運転するとは言ってますが、681系・683系で運転するとは言っていません。なので、気動車になるのかもしれませんが…
大阪・名古屋の人には、あんまメリットないな
ということで、北陸新幹線の敦賀延伸後の運行パターンとかを見てきました。大阪、関西、名古屋の人からすると、ほぼメリットはないなという感じです。
大阪、関西の人からすると、早く新大阪まで延伸してもらわないとという感じです。名古屋の人からすると、新大阪まで延伸しようがしまいが、ほぼメリットがない感じですね。
2024年3月の敦賀延伸後、人の流れは、どうなっていくんでしょうか?たぶん、金沢は、人気の観光地なんで、大阪、名古屋からの観光客が増えることはないけど、減ることもないんじゃないかとは思ってます。
♪Mr.Children「通り雨」(アルバム:HOME収録)