JRの切符のルールであるJR西日本の旅客営業規則を眺める-総則編-

JR旅客営業制度探求講座というツアーが2月と3月に計4日間開催されます。このツアーはJRの旅客営業制度を学ぼうという企画です。非常に興味があったのですが、残念ながら日程的に難しくツアーに申込めませんでした。そこで、勝手にJR西日本の旅客営業規則を通しで見てみようということで、今回は総則編です。

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旅客営業規則

 旅客営業規則は、JR各社(貨物を除く)の旅客と運送契約に適用する条件を定めたものです。要するに、運送約款のことです。簡単に言うと、みどりの窓口に備え付けられてる時刻表の最後の方に載ってる切符のルール等の元ネタです。JR各社で内容は異ならないと思いますが、JR西日本の旅客営業規則を見ていこうと思います。

 ちなみに、旅客営業規則は、運送約款の内容なので、公表する必要があります。JR西日本のWebサイトで公表されてますし、有人駅には備え付けられているそうです。JR西日本は、別表第1号~3号が省略されています。なので、JR東日本JR東海のWebサイトを参照するのがいいでしょう。

旅客営業規則第1編総則

 ということで、今回は、旅客営業規則の第1編の総則を取上げます。法律と同じように、パンデクテン方式になってるんですね。

 パンデクテン方式とは、法律の構成のことです。典型は民法です。民法は、第1編が総則で民法の全分野に共通するルールを定めています。第2編が物権ですが、第2編の第1章は物権総則と続きます。このように、パンデクテン方式では、一般規定が最初にまとめられ、後に個別具体的な規定と構成されています。この辺りの話しに興味のある方は、民法総則とか、民法入門の本を読んでみてください。最初の方にパンデクテン方式の話しが出てきます。

 なお、逐条解説をするつもりはないので、気になった条項を拾っていく形で進めていきます。

目的・適用範囲(1条・2条)

 1条と2条は目的と適用範囲についての規定です。当然、JR西日本管内とJR西日本と他の鉄道会社に係る旅客の運送について適用されます。

定義規定(3条)

 3条は定義規定です。以後、規則に登場する用語についてまとめて定義されています。ここも気になった用語をピックアップしておきます。

①幹線と地方交通線

 JRには、幹線と地方交通線が存在します。幹線は地方交通線以外の営業線のことです。じゃぁ、地方交通線はというと、別表第1号の営業路線と定義されています。

 前述のとおり、別表第1~3は、なぜか、上記のJR西日本のWebサイト上では公表されていません(省略されています。)。一方、JR東日本のWebサイトJR東海のWebサイト上では、ちゃんと公表されています(北海道・四国・九州は未確認)。

 別表第1号ですが、地方交通線の線名と区間を線名の五十音順に記載している表です。全部挙げるとキリがないので省略しますが、関西だと赤穂線・加古川線・姫新線・桜井線・播但線・和歌山線が該当します。要は、ローカル線ですね。

②新幹線

 新幹線は、全国新幹線整備法2条では、主要区間を時速200キロメートル以上で走行する鉄道と定義されています(50年前の計画に基づいて建設される整備新幹線参照)。旅客営業規則では、以下のように定義されています。

 東海道本線(新幹線)、山陽本線(新幹線)、鹿児島本線(新幹線)、東北本線(新幹線)、東北新幹線、高崎線(新幹線)、上越線(新幹線)、信越本線(新幹線)、北陸新幹線、九州新幹線、北海道新幹線、長崎本線(新幹線)、西九州新幹線

 要するに、現在営業している新幹線を列挙しているんですが、秋田新幹線と山形新幹線は除外されています。まぁ、在来線走ってますからね。あと、面白いなとおもったのは、東海道新幹線等は、あくまでも東海道本線等の支線という扱いになってるんですね。

③急行列車

 急行列車を特別急行列車及び普通急行列車と定義しています。ということは、特急「サンダーバード」、「はるか」や「くろしお」は、旅客営業規則の定義上は急行列車です。

 ちなみに、2016年3月に急行「はまなす」が廃止されたので、現在、JRには定期運行している普通急行列車は存在しません。

④特別車両

 旅客車の内、特別な設備をした座席車で12条の表示をしたものが特別車両です。12条の表示とは、特急料金とか寝台料金といった特別な料金が必要な車両は、車両の入り口等に行う表示のことです。

⑤乗車券類

 乗車券類とは、乗車券、急行券、特別車両券、寝台券、コンパートメント券、座席指定券のことです。特急券が列挙されていないのは、急行列車に特急が含まれるので、急行券には特急券が含まれているからですね。

⑥指定券

 乗車日と乗車列車を指定して発売する急行券、特別車両券、寝台券、コンパートメント券、座席指定券が指定券です。

 指定券の急行券(指定急行券)には、未指定特急券というのも存在します。これは、乗車日・有効区間・全車両指定制の1つ以上の特急を指定し、座席が使用できない特急券です。全車指定の特急に満席で乗れないときに活躍します。

料金前払い(4条)

 列車に乗る際は、切符を購入してから乗ります。つまり、料金を前払いしてるわけですが、これは、4条1項で旅客運送契約の申込みを行う場合、旅客は現金で所定の料金・運賃を提供すると規定されているからです。

 現金払いが原則ですが、2項で料金・運賃は、ギフトカード(302条)、オレンジカード、Jスルーカード、ICOCA乗車券でも払えると規定されています。オレンジカードとかJスルーカードって、旅客営業規則上はまだ使えるんですね(別の規定で使えないかもしれません。)。ちなみに、別に定める旅客運賃・料金は小切手とかでも支払いできる場合があると規定されてますが、クレジットカードやICOCA以外の電子マネーは言及されていません。

旅客運送契約の成立(5条)

 原則、旅客が所定の運賃・料金を払って、乗車券類等を受け取った時点で、旅客運送契約が成立します。

旅客運送等の制限・停止(6条)

 旅客運送の円滑な遂行を確保するため必要があるときは、乗車券類の発売の制限・停止や乗車区間・乗車経路・乗車方法・入場方法・乗車する列車の制限・停止をすることがあると規定されています。

運行不能の場合(7条)

 列車の運行が不能となった場合、不通区間内着となる旅客又は不通区間内を通過する旅客の取扱いはしないと規定されています。

営業キロ・運賃の計算(8条)

 運賃・料金の計算に当たって、1キロメートル未満の端数は切り上げるという規定です。

期間の計算方法(9条)

 切符の有効期限に関係する期間の計算方法ですが、民法と異なります。

 まず、初日を参入します。期間の初日は時間の長短にかかわらず1日として計算します。以下のような旅客営業規則に例が載っています。

 ①3月20日から1日間→3月20日

 ②6月1日から1か月→6月30日

 ③11月30日から3か月→2月末日(平年は28日、閏年は29日)

♪BUMP OF CHICKEN「銀河鉄道」(アルバム:present from you収録)

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