JR西日本の旅客営業規則を通しで見てみようということで、今回からいよいよ、第2編旅客営業の第3章旅客運賃・料金に突入します。今回は、その内の通則編です。
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- 1. 旅客営業規則
- 2. 旅客営業規則第2編旅客営業第3章旅客運賃・料金第1節通則
- 2.1. 旅客運賃・料金の種類(65条)
- 2.1.1. 旅客運賃
- 2.1.2. 急行料金
- 2.1.3. 特別車両料金
- 2.1.4. 寝台料金
- 2.1.5. コンパートメント料金
- 2.1.6. 座席指定料金
- 2.2. バリアフリー料金のあわせ収受(66条)
- 2.3. 旅客運賃・料金計算上の経路等(67条)
- 2.4. 旅客運賃・料金計算上の営業キロ等の計算方(68条)
- 2.4.1. 環状線1周の場合
- 2.4.2. 復乗
- 2.4.3. 山陽新幹線の新下関-博多間と山陽本線・鹿児島本線を乗り継ぐ場合
- 2.5. 特定区間における旅客運賃・料金計算の営業キロ又は運賃計算キロ(69条)
- 2.6. 旅客の区分及びその旅客運賃・料金(73条)
- 2.6.1. 区分
- 2.6.2. 小児とみなされる場合
- 2.7. 小児の旅客運賃・料金(74条)
- 2.8. 割引の旅客運賃・料金(74条の2)
- 2.8.1. 往復乗車又は連続乗車
- 2.9. 特急の個室を占有使用する場合の旅客運賃・料金(74条の4)
- 2.10. 急行列車の設備定員が複数の寝台個室を使用する場合の旅客運賃・料金(74条の5)
- 2.11. 補助寝台を使用する場合の特急料金(74条の6)
- 2.12. コンパートメント個室を占有使用する場合の旅客運賃・料金(74条の7)
- 2.13. 旅客運賃・料金割引の重複適用の禁止(76条)
旅客営業規則
旅客営業規則は、JR各社(貨物を除く)の旅客と運送契約に適用する条件を定めたものです。要するに、運送約款のことです。簡単に言うと、みどりの窓口に備え付けられてる時刻表の最後の方に載ってる切符のルール等の元ネタです。JR各社で内容は異ならないと思いますが、JR西日本の旅客営業規則を見ていこうと思います。
旅客営業規則第2編旅客営業第3章旅客運賃・料金第1節通則
今回から、いよいよ、旅客営業規則の第2編旅客営業の第3章旅客運賃・料金に突入します。ということで、ここから旅客営業規則は、複雑さをましていきます。たぶん…今回は、通則を取上げます。通則なので、旅客運賃・料金に共通するルールという感じです。
旅客運賃・料金の種類(65条)
まず、旅客運賃と料金の種類を規定しています。乗車券類の種類に対応した旅客運賃・料金となっています。
旅客運賃
旅客運賃には、①普通旅客運賃、②定期旅客運賃、③普通回数旅客運賃、④団体旅客運賃、⑤貸切旅客運賃があります。
①普通旅客運賃は、さらに、(1)片道普通旅客運賃、(2)往復普通旅客運賃、(3)連続普通旅客運賃の3つがあります。
②定期普通旅客運賃は、さらに、(1)通勤定期旅客運賃、(2)通学定期旅客運賃、(3)特殊定期旅客運賃の3つがあります。(3)特殊定期旅客運賃は、さらに、ⅰ)特別車両定期旅客運賃とⅱ)特殊均一定期旅客運賃があります。
急行料金
急行料金は、①特別急行料金と②普通急行料金があります。
①特別急行料金は、さらに、(1)指定席特急料金、(2)立席特急料金、(3)自由席特急料金、(4)特定特急料金があります。
特別車両料金
特別車両料金(A)と(B)があります。
寝台料金
寝台料金(A)と(B)があります。
コンパートメント料金
座席指定料金
バリアフリー料金のあわせ収受(66条)
鉄道駅バリアフリー料金は、旅客運賃と一緒に徴収するという規定です。ちなみに、ここでいう旅客運賃には、通学定期旅客運賃は含みません。
旅客運賃・料金計算上の経路等(67条)
旅客運賃・料金の計算は、旅客が実際に乗車する経路・発着の順番に従って行います。
旅客運賃・料金計算上の営業キロ等の計算方(68条)
営業キロ又は擬制キロを用いて旅客運賃・料金を計算する場合、原則、同一方向に連続する場合は通算します。また、JR西日本と通過連絡運輸を行う鉄道等が中間に介在する場合に、連絡乗車券が発売されるときは、前後の鉄道会社の区間の営業キロ・擬制キロを通算されます。なお、運賃計算キロを用いて幹線と地方交通線を連続して乗車する場合も通算します。
環状線1周の場合
計算経路が環状線1周の場合、環状線1周となる駅の前後の区間の営業キロ・擬制キロ・運賃計算キロを打ち切って計算されます。
復乗
計算経路の一部・全部が同じルートを2回通る復乗となる場合は、折返しとなる駅の前後の区間の営業キロ・擬制キロ・運賃計算キロを打ち切って計算されます。
山陽新幹線の新下関-博多間と山陽本線・鹿児島本線を乗り継ぐ場合
山陽新幹線の新下関-博多間の一部又は全部と同区間の山陽本線と鹿児島本線の一部又は全部を相互に直接乗り継ぐ場合は、以下のようになります。
①山陽本線の新下関-門司間・鹿児島本線の門司-小倉間の一部又は全部と山陽新幹線の新下関-小倉間を新下関又は小倉で相互に直接乗り継ぐ場合は、新下関又は小倉で運賃計算キロを打ち切って計算されます。
②鹿児島本線の小倉-博多間と山陽新幹線の小倉-博多間を小倉又は博多で相互に直接乗り継ぐ場合も同様に、小倉又は博多で運賃計算キロを打ち切って計算されます。
特定区間における旅客運賃・料金計算の営業キロ又は運賃計算キロ(69条)
たとえば、山科以遠(京都方面)からの各駅と近江塩津以遠(新疋田方面)の各駅の相互間は、湖西線経由で計算されます。大阪以遠(塚本又は新大阪方面)の各駅と天王寺以遠(東部市場前又は美章園方面)の各駅の相互間は、大阪環状線の天満経由で計算されます。
上記の2区間を含め全部で9区間について、このような規定があります。
また、東京の山手線内と赤羽・錦糸町までのエリアについては、普通旅客運賃・料金は、最短距離で計算されます。そのため、経路の指定は行われません。
さらに、尼崎以遠(塚本方面)の各駅と和田山以遠(養父方面)の各駅の相互間を山陽本線、播但線、山陰本線経由で直通運転する特急に乗車する場合の特急料金・特別車両料金は、東海道本線、福知山線、山陰本線経由として計算されます。要するに、「はまかぜ」に乗車する場合の規定ですね。
上記の区間を含め全部で5つ同様の規定があります。
旅客の区分及びその旅客運賃・料金(73条)
大人料金か小人料金かの区分についての規定です。
区分
JRでは、以下の4つに区分しています。
大人:12歳以上
小児:6歳以上12歳未満
幼児:1歳以上6歳未満
乳児:1歳未満
原則、幼児と乳児は、旅客運賃・料金は不要です。
なお、特別車両料金、寝台料金、コンパートメント料金は、年齢による区別はありません。
小児とみなされる場合
幼児のみで列車に乗る場合、6歳以上の旅客にが人を3人以上の幼児を連れている場合の3人目以降の幼児は、小児として扱われます。小児として扱われるということは、小児運賃・料金が必要ということです。
あと、団体旅客の場合、幼児は人数に関わらず、小児扱いになるんですね。また、幼児又は乳児が指定席又は寝台を幼児又は乳児のみで使用する場合も小児扱いになります。
小児の旅客運賃・料金(74条)
小児の片道普通旅客運賃、定期旅客運賃、急行料金又は座席指定料金は、原則、大人の運賃・料金の半額です。10円未満の端数は切り捨ててくれます。
東京-小倉間の新幹線停車駅と新鳥栖-鹿児島中央間の新幹線停車駅の相互間を乗車する場合の特急料金の小児料金は、東京-博多間及び博多-鹿児島中央間の乗車区間に対する大人の特急料金の半額になります。東海道山陽新幹線区間の特急料金は、高くなってるんですね。東北・北海道新幹線にも同様の規定があります。
割引の旅客運賃・料金(74条の2)
割引の旅客運賃・料金は、原則、大人又は小児の割引なしの旅客運賃・料金から割引額を差し引きます。10円未満の端数は、切り捨てます。
なお、東京-小倉間の新幹線停車駅と新鳥栖-鹿児島中央間の新幹線停車駅の相互間を乗車する場合などの特急料金の割引について、小児料金と同様の規定があります。
往復乗車又は連続乗車
往復乗車又は連続乗車する場合の割引の普通旅客運賃は、各区間ごとに割引額を差し引いた額の合計です。10円未満の端数は切り捨てです。
特急の個室を占有使用する場合の旅客運賃・料金(74条の4)
新幹線の設備定員が複数の個室に、設備定員に満たない人数の旅客がその個室を占有使用して乗車することが認められた場合、実際に乗車する人の料金・運賃の他に、以下の定員に不足する人数分の運賃・料金を支払う必要があります。
①個室乗車区間に対する大人の片道普通旅客運賃の半額
②個室乗車区間に対する大人の特急料金の半額
③個室乗車区間に対する大人の特別車両料金
JR東日本・四国・九州線内相互発着の在来線の特急の特別車両の設備定員が複数の個室に、設備定員に満たない人数の旅客がその個室を占有使用して乗車することが認められた場合は、実際に乗車する人の料金・運賃の他に、その個室の特別車両料金を支払う必要があります。
急行列車の設備定員が複数の寝台個室を使用する場合の旅客運賃・料金(74条の5)
設備定員が複数の寝台個室を利用する場合は、実際に乗車する人数の旅客運賃と寝台個室乗車区間に対する定員分の大人の特急料金と寝台料金を支払う必要があります。
補助寝台を使用する場合の特急料金(74条の6)
補助寝台を使用する場合は、寝台個室の設備定員分の寝台と同時使用を条件に、1室1つで発売されます。補助寝台を使用する場合の特急料金は、大人・小児等の区分に従います。ただし、2人用の寝台個室を3人で使用する場合、2人は大人の特急料金が必要です。
コンパートメント個室を占有使用する場合の旅客運賃・料金(74条の7)
特急の設備定員が複数のコンパートメント個室に、設備定員に満たない人数の旅客がその個室を占有使用して乗車することが認められた場合、実際に乗車する人の運賃・料金と定員不足分の個室乗車区間に対するコンパートメント料金が必要です。
旅客運賃・料金割引の重複適用の禁止(76条)
旅客運賃・料金について2つ以上の割引条件に該当する場合でも、重複して割引を受けることはできません。例外として、学生割引普通乗車券を購入する場合は、往復割引の普通旅客運賃に対して学割を適用することができます。
♪Mr.Children「ALIVE」(アルバム:BOLERO収録)