JRの切符のルールであるJR西日本の旅客営業規則を眺める-第2編旅客営業第3章旅客運賃・料金第2節普通旅客運賃①-

JR西日本の旅客営業規則を通しで見てみようということで、今回は、第2編旅客営業の第3章旅客運賃・料金の普通旅客運賃編①です。

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旅客営業規則

 旅客営業規則は、JR各社(貨物を除く)の旅客と運送契約に適用する条件を定めたものです。要するに、運送約款のことです。簡単に言うと、みどりの窓口に備え付けられてる時刻表の最後の方に載ってる切符のルール等の元ネタです。JR各社で内容は異ならないと思いますが、JR西日本の旅客営業規則を見ていこうと思います。

旅客営業規則第2編旅客営業第3章旅客運賃・料金第2節普通旅客運賃

 今回は、旅客営業規則の第2編旅客営業の第3章旅客運賃・料金の普通旅客運賃を取上げます。JRの普通旅客運賃は、本州3社が同じ運賃の計算方法で、北海道・四国・九州は本州3社と異なっているんですね。

幹線内相互発着の大人片道普通旅客運賃(77条)

 前述のとおり、本州3社と北海道・四国・九州とでは、運賃の計算が異なります。77条は、本州3社の片道普通旅客運賃の規定です。

大人片道普通旅客運賃の基本

 本州3社の幹線内を相互発着する場合の大人の片道普通旅客運賃の基本は、以下のとおりです。

営業キロ 賃率
300㎞以下 1㎞につき16円20銭
300㎞超600㎞以下 1㎞につき12円85銭
600㎞超 1㎞につき7円5銭

 表のとおり、営業キロ×賃率+消費税が片道普通旅客運賃です。長距離になるほど得(?)になります。

 端数をどうするか?というと、営業キロによって、端数の扱いが変わります。

 (1)100㎞以下の場合:10円未満の端数を10円単位に切り上げ、10円単位の額とする。

 (2)100㎞超の場合:50円未満の端数を切り捨て、50円以上の端数は切り上げ、100円単位の額とする。

 ちなみに、消費税は、10円未満の端数を円単位で四捨五入し、10円単位の額にします。

営業キロの計算

 営業キロに関しては、以下のように取扱います。

営業キロ 取扱い
11㎞~50㎞

11㎞から5㎞ごとに区分

11㎞~15㎞までは13㎞とする

16㎞以上は1区分増すごとに5㎞を加える

51㎞~100㎞

51㎞から10㎞ごとに区分

51㎞~60㎞までは55㎞とする

61㎞以上は1区分増すごとに10㎞を加える

101㎞~600㎞

101㎞から20㎞ごとに区分

101㎞~120㎞までは110㎞とする

121㎞以上は1区分増すごとに20㎞を加える

601㎞以上

601㎞から40㎞ごとに区分

601㎞~640㎞までは620㎞とする

641㎞以上は1区分増すごとに40㎞を加える

営業キロが160㎞の場合の大人片道普通旅客運賃

 上表のように、営業キロが同じ区分に入ると、運賃は同じ金額になります。

 たとえば、乗車区間の営業キロが160㎞だった場合、運賃計算上の営業キロは150㎞となります。

 150㎞×16円20銭=2,430円→50円未満の端数を切り捨てるので、2,400円に消費税を加えて2,640円となります。

JR北海道内の幹線内相互発着の大人片道普通旅客運賃(77条の2)

 JR北海道・四国・九州は、本州3社と異なる運賃計算の計算方法を採用しています。すべて取上げると長くなっちゃうので、代表してJR北海道を取上げることにします(まとめるのは四国が一番楽なんだけど…)。

 JR北海道は、営業キロが①11㎞から100㎞までと②100㎞を超える場合とで計算方法が分かれています。

①営業キロが11㎞から100㎞まで

営業キロ 大人片道普通旅客運賃
~15㎞ 340円
15㎞超~30㎞ 5㎞増すごとに100円加算
30㎞超~35㎞ 750円
35㎞超~45㎞ 5㎞増すごとに110円加算
45㎞超~50㎞ 1,130円
50㎞超~60㎞ 1,290円
60㎞超~70㎞ 1,490円
70㎞超~80㎞ 1,680円
80㎞超~90㎞ 1,890円
90㎞超~100㎞ 2,100円

②営業キロが100㎞超の場合

 営業キロを以下の4つに区分したうえで、区分と賃率以外は、本州3社と同じ計算方法で計算します。

営業キロ 賃率
100㎞超~200㎞以下 1㎞につき19円70銭
200㎞超~300㎞以下 1㎞につき16円20銭
300㎞超~600㎞以下 1㎞につき12円85銭
600㎞超 7円5銭

営業キロが160㎞の場合の大人片道普通旅客運賃

 JR北海道でも乗車区間が160㎞の場合の大人片道普通旅客運賃を計算してみようと思います。

 運賃計算上の営業キロは、本州3社と同じなので150㎞で計算します。

 150㎞×19円70銭=2,955円→50円以上の端数は切り上げるので、3,000円に消費税を加え3,300円となるはずなのですが…JRのWebサイトを見ると、あれっ、3,190円になっています。

 2,955円の100円未満の端数を切り捨てて2,900円に消費税を加えると3,190円になるので、端数を切り捨ててるようです。あれっ、切り上げるんじゃなかったっけ?

 これは、2項のせいです。いちいち条項を挙げてませんが、2項で、上記にかかわらず、別表第2号イに定める営業キロの区間の大人片道普通旅客運賃は、表の特定の額とすると規定されています。

 別表第2号イは、JR北海道の幹線内相互発着の大人片道普通旅客運賃の特定額を定めています。で、なぜか、営業キロ141㎞~160㎞までは3,190円とされています。なぜ、この営業キロの区分だけ、ちょっとだけ安くしてるんでしょうか?

地方交通線内相互発着の大人片道普通旅客運賃(77条の5)

 本州3社の地方交通線内相互発着の大人片道普通旅客運賃の規定です。地方交通線内に関しては、本州3社のみを取上げることにします。ちなみに、地方交通線とは、別表第1号の営業路線なんですが、別表が見れません。要は、ローカル線です。関西だと、万葉まほろば線(高田-奈良間)、和歌山線(王子-和歌山間)なんかが該当します。

大人片道普通旅客運賃の基本

 地方交通線内発着の大人片道普通旅客運賃の基本は、以下のとおりです。

営業キロ 賃率
273㎞以下 1㎞につき17円80銭
273㎞超~546㎞以下 1㎞につき14円10銭
546㎞超 1㎞につき7円70銭

営業キロ

 営業キロについては、別表第2号イの4で決められています。しかしながら、中身はWeb上では確認できません。

例外

 上表に関わらず、以下の営業キロの区間については、以下のように運賃が定められています。

営業キロ 大人片道普通旅客運賃
11㎞~15㎞ 240円
16㎞~20㎞ 330円
21㎞~23㎞ 420円
24㎞~28㎞ 510円
33㎞~37㎞ 680円
42㎞~46㎞ 860円
47㎞~55㎞ 990円
56㎞~64㎞ 1,170円
65㎞~73㎞ 1,340円
74㎞~82㎞ 1,520円
83㎞~91㎞ 1,690円
101㎞~110㎞ 1,980円
292㎞~310㎞ 5,720円

♪Mr.Children「Distance」(アルバム:KIND OF LOVE収録)

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