JRの切符のルールであるJR西日本の旅客営業規則を眺める-第2編旅客営業第3章旅客運賃・料金第2節普通旅客運賃②-

JR西日本の旅客営業規則を通しで見てみようということで、今回は、第2編旅客営業の第3章旅客運賃・料金の普通旅客運賃編②です。

※本投稿には、アフリエイト広告を表示しています。

旅客営業規則

 旅客営業規則は、JR各社(貨物を除く)の旅客と運送契約に適用する条件を定めたものです。要するに、運送約款のことです。簡単に言うと、みどりの窓口に備え付けられてる時刻表の最後の方に載ってる切符のルール等の元ネタです。JR各社で内容は異ならないと思いますが、JR西日本の旅客営業規則を見ていこうと思います。

旅客営業規則第2編旅客営業第3章旅客運賃・料金第2節普通旅客運賃

 今回は、旅客営業規則の第2編旅客営業の第3章旅客運賃・料金の普通旅客運賃の続きを取上げます。

電車特定区間内等の大人片道普通旅客運賃(78条)

 JRには、私鉄との競合を理由に通常よりも運賃が安く設定されている電車特定区間というのがあります。78条は、電車特定区間と山手線・大阪環状線の運賃の計算について規定しています。

 ちなみに、東京と大阪で同じ賃率を用いているにもかかわらず、運賃が異なっています(東京の方が少し高い)。それは、消費税の計算の際に端数の処理が異なるからです。東京は、10円未満の端数を円単位で切り上げるのに対して、大阪は四捨五入することになっています。なぜ、東京は切り上げる?

山手線・大阪環状線

 山手線内・大阪環状線内相互発着の場合の運賃の計算は、1㎞につき13円25銭(300㎞以下の営業キロ)で計算します。本州3社の幹線内相互発着の場合は、300㎞以下の営業キロの場合1㎞につき16円20銭なので、約3円安くなっています。

電車特定区間

 東京近郊及び大阪近郊に電車特定区間が存在します。電車特定区間内を相互発着する場合の運賃の計算は、以下のとおりです。

 300㎞以下の営業キロ:1㎞につき15円30銭

 300㎞超~600㎞以下の営業キロ:11㎞につき12円15銭

 山手線・大阪環状線ほどではありませんが、通常の本州3社の幹線内相互発着の運賃に比べて気持ち安く設定されています。

東京近郊の電車特定区間

 東京近郊の電車特定区間は、以下のとおりです(ほんとは路線図を載せればいいんだろうけど…)。

 ①東海道本線:東京-大船間、品川-新川崎・鶴見・羽沢横浜国大間

 ②南武線、鶴見線、武蔵野線、横浜線、根岸線、横須賀線、青梅線、五日市線、山手線、赤羽線

 ③中央本線:東京-高尾間

 ④東北本線:東京-大宮間、日暮里-尾久・赤羽間、赤羽-武蔵浦和・大宮間

 ⑤常磐線:日暮里-取手間

 ⑥総武本線:東京-千葉間、錦糸町-御茶ノ水間

 ⑦京葉線:東京-千葉みなと間、市川塩浜-西船橋・南船橋間

大阪近郊の電車特定区間

 大阪近郊の電車特定区間は、以下のとおりです。

 ①東海道本線:京都-神戸間

 ②おおさか東線、大阪環状線、桜島線、JR東西線、阪和線

 ③山陽本線:神戸-西明石間

 ④関西本線:奈良-JR難波間

 ⑤片町線:長尾-京橋間

 大和路線は全区間対象ですが、学研都市線は全区間が電車特定区間ではないんですね。

東京近郊等の特定区間における大人片道普通旅客運賃の特定(79条)

 東京・大阪・名古屋近郊の特定区間内相互発着の運賃は、別表第2号イの6の特定の額となります。全部挙げるときりがないので、一部のみ紹介します。

 大阪-京都間は570円、大阪-高槻間は260円というように特定の区間について、特定の運賃が定められています。大阪-三ノ宮間は410円、京都-三ノ宮間は1,100円となっています。

 実際、どのくらい安くなってるんでしょうか?京都-三ノ宮間で見てみましょう。京都-三ノ宮間の営業キロは73.4㎞です。1㎞未満の端数は切り上げるので、運賃計算は74㎞で行います。東海道本線は幹線ですから、1㎞:16円20銭です。

 したがって、74㎞×16円20銭=1,198.8円となります。100㎞以下は10円未満の端数を切り上げるので、本来は1,200円です。ところが、特定区間ということで、1,100円になっていて、100円安くなってるんですね。

 ちなみに、競合する阪急の運賃は以下のとおりです(バリアフリー料金は除外)。必ずしも競合私鉄より安くしているというわけではないようです。

 大阪梅田-京都河原町間400円、大阪梅田-高槻市間280円、大阪梅田-神戸三宮間320円、京都河原町-神戸三宮間630円となっています。

新幹線の並行区間等における大人片道普通旅客運賃の特定(80条)

 ①新幹線の区間相互間を乗車する場合又は②①の区間と新幹線以外の線区を連続して乗車する場合で、発着となる駅が電車特定区間内又は新神戸駅発着となる場合は、78条1項又は84条2号が適用されます。対象となる①新幹線の区間相互間は、以下のとおりです。

 (1)東京-品川、(2)東京-上野、(3)東京-大宮、(4)上野-大宮、(5)京都-新大阪、(6)京都-新神戸、(7)京都-西明石、(8)新大阪-新神戸、(9)新大阪-西明石、⑽新神戸-西明石

 この内、(5)京都-新大阪、(6)京都-新神戸は、79条が適用されます。ちなみに、京都-新神戸は、京都-神戸の運賃となります。

 他にも、JR京都線の吹田~茨木・摂津富田・高槻・桂川・西大路-新神戸間もそれぞれ神戸までの運賃が適用されます。

幹線と地方交通線を連続して乗車する場合の大人片道普通旅客運賃(81条)

 本州3社の幹線と地方交通線を連続して乗車する場合の運賃は、発着区間の運賃計算キロに基づいて計算します。賃率などは77条によります。

 JR北海道・四国・九州も同様の規定があります。

営業キロが10㎞までの片道普通旅客運賃(84条)

 本州3社の営業キロが10㎞までの片道普通旅客運賃は、以下のとおりです。なお、規定は、「片道普通旅客運賃」で大人・小児両方の運賃が規定されてますが、大人の運賃のみを記載します。

①幹線内相互発着

 (1)営業キロが3㎞以下:150円

 (2)営業キロが4㎞~6㎞:190円

 (3)営業キロが7㎞~10㎞:200円

②電車特定区間内相互発着(東京)

 東京と大阪で運賃が異なると書きましたが、10㎞までの運賃も東京と大阪で異なります。

 (1)営業キロが3㎞以下:140円

 (2)営業キロが4㎞~6㎞:160円

 (3)営業キロが7㎞~10㎞:170円

③電車特定区間内相互発着(大阪)

 (1)営業キロが3㎞以下:130円

 (2)営業キロが4㎞~6㎞:160円

 (3)営業キロが7㎞~10㎞:180円

④地方交通線内相互発着、幹線と地方交通線を連続して乗車する場合

 (1)営業キロが3㎞以下:150円

 (2)営業キロが4㎞~6㎞:190円

 (3)営業キロが7㎞~10㎞:210円

 幹線と地方交通線を連続して乗車する場合の営業キロが10㎞までの場合、運賃の計算は、運賃計算キロではなく営業キロで行うことになっています。

北海道旅客鉄道会社線内の営業キロが10㎞までの片道普通旅客運賃(84条の2)

 JR北海道・四国・九州は、本州3社と異なる運賃計算の計算方法を採用しています。すべて取上げると長くなるので、代表してJR北海道を取上げることにします。

①幹線内相互発着

 (1)営業キロが3㎞以下:200円

 (2)営業キロが4㎞~6㎞:250円

 (3)営業キロが7㎞~10㎞:290円

 初乗り運賃が200円というのは、大阪近郊の電車特定区間は130円なので、関西在住者からすると考えられない値段です。

 ちなみに、四国・九州が170円なので、いかに北海道の運賃が高いかがわかりますね。

②地方交通線内相互発着、幹線と地方交通線を連続して乗車する場合

 (1)営業キロが3㎞以下:290円

 (2)営業キロが4㎞~6㎞:250円

 (3)営業キロが7㎞~10㎞:300円

♪Mr.Children「ALIVE」(アルバム:BOLERO収録)

Follow me!